再生可能エネルギー普及の一助にしようと、小田原市内の市民有志がソーラーシェアリング(営農型発電)の田んぼで育てた米を材料にした日本酒「推譲(すいじょう)」を発売した。
ラベルの揮毫(きごう)を手掛けたのは、在任時代から自然エネルギー政策に熱心だった前市長の加藤憲一さん。
“太陽光発電製”日本酒は全国的にも珍しいといい、タッグを組んだ市民や酒蔵関係者らは「食もエネルギーも地産地消を進めていきたい」と意気込んでいる。
推譲を造ったのは、ソーラーシェアリングを運営する合同会社「小田原かなごてファーム」(小山田大和代表社員)と創業約230年の老舗「井上酒造」(大井町上大井)など。約700本を生産し、同酒造のオンラインショップなどで1日から販売を開始した。
東京電力福島第1原発事故を契機に、同ファームは2016年から小田原市内の休耕地でソーラーシェアリングをスタート。18年には発電所2号機として同市桑原の約1200平方メートルにソーラーパネル200枚を設置し、その下にブランド米「キヌヒカリ」を植えた。
しかし、収穫までは苦難続きだった。18年には収穫直前に台風被害に遭い、パネルが倒壊。復旧した19年は生育不足で収穫できず3年目の昨秋にようやく約300キロ分の米が実った。