楽天を「ホークスも怖いと感じている」 失速の昨季と“全然違う”と断言できる理由

楽天・石井一久監督【写真:(C)Rakuten Eagles】

GG賞7度、燕&鷹でコーチも務めた飯田哲也氏が見た序盤戦

ペナントレースの10分の1余りを消化したプロ野球。まだ序盤の序盤だが、パ・リーグでは各チームの明暗が分かれた格好に。田中将大の復帰で優勝候補にも挙がる楽天は前評判通りの強さを見せ、14日時点で首位に立っている。ただ、昨季も前半戦は首位を快走しながら、後半に失速して4位。今季も同じ轍を踏むことはないのか――。現役時代にヤクルト、楽天で外野手として7度のゴールデン・グラブ賞を受賞し、引退後はヤクルトとソフトバンクでコーチも務めた野球評論家の飯田哲也氏は「今年は全然違うと思います」と見る。

決して万全の布陣で開幕を迎えているわけではない楽天。投手ではブルペンの一角に期待されたコンリー、野手でも中軸に期待されたカスティーヨ、ディクソンがコロナ禍の影響で来日が遅れた。さらに今季最大の目玉だった田中将が開幕直前に右ヒラメ筋損傷で離脱し、いまだに未登板の状況だ。それでも飯田氏は「外国人選手がまだ来ていない中、非常にいい戦いができている」とうなずく。

やはり、チームを牽引しているのは“史上最強”の呼び声もあった先発陣。「好スタートの原動力は、やはり先発投手が大崩れしないこと。しっかりした投手が試合を作れるので、それが強みになっている」と評価する。チームが15試合を消化した段階で、開幕投手の涌井秀章と、今季初登板で完封勝利を挙げた岸孝之が共に防御率1点台で2勝。近年不振だった則本昂大も開幕から2連勝を挙げ、ドラフト1位ルーキーの早川隆久、プロ2年目の瀧中瞭太も白星をマークしている。出遅れた田中将も復帰が近い。

「田中が入ってくると、勝ちが計算できる投手がカードごとに2枚ずつ使えることになる。常に2勝1敗ペースが計算できることになるわけですから、これは大きい。強いですよね」

ヤクルト時代に同僚だった石井監督の手腕も注目「長期的な視野でやれている」

8年ぶりのリーグ優勝に向け、ライバルはやはりソフトバンクになると飯田氏は指摘する。4年連続日本一の王者に対し「なかなか先発が揃わない中、貯金を作っているのは、やはり底力がある。先発が揃わない分、後ろがしっかりしている。5回、6回まで粘って、終盤勝負という形ができている。まだ1軍で投げていない東浜や外国人選手などが入ってきたら、かなり手強いチームになると思います」と言う。

楽天は昨季、9勝15敗とソフトバンクに大きく負け越し。今季初の3連戦でも2引き分けの後、敗戦と勝てなかった。それでも飯田氏は「昨年までの成績は全く関係ない」と不安を一掃する。

「(8-8で)引き分けた10日の試合でも、0-7から楽天が追いついて、一度はリードもした。ホークスも、今年の楽天はちょっと違うと感じたと思います。昨年よりも先発が揃っていること、さらに若手が伸びていることなど、何よりチームに勢いがあることが、ホークスも怖いと感じているのではないでしょうか」

ヤクルト時代に同僚だった石井一久新監督の采配も、飯田氏は評価する。「昨年はケガ人が出たことで失速したが、今年は絶好調の茂木をソフトバンク戦で2試合休ませた。大きなケガをして長期離脱を防ぐためにストップをかける方向に持っていっているように見える。ホークスとの直接対決でそういったことができるのは、今年1年しっかり戦っていくぞ、という姿勢ではないでしょうか。目先の勝利ではなく、長期的な視野でやれていると思います」。今年のパ・リーグは「2強の争いになる」と断言。昨年までとは違い、楽天にとって王者ソフトバンクは脅威ではなく、互角以上の戦いが期待できそうだ。(大久保泰伸 / Yasunobu Okubo)

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