あと99日

 「開催するべき」24.5%、「中止するべき」39.2%、「再延期すべき」32.8%。最新の世論調査結果の数字が一昨日の紙面にあった。7月23日の開会まで、きょうから数えて99日の東京五輪。向かい風が続く▲「開催派」が4分の1にとどまった調査結果を実は少し意外に感じている。調査が行われたのは、競泳のヒロイン池江璃花子選手が日本選手権で「4冠」に輝いた直後だった。東京で泳がせてあげたい、泳ぐ姿が見たい-それは、極めて自然な感情のはずだから▲ところが、同じ質問への回答は3月の調査とほとんど変わっていない。“池江効果”はただの思い過ごしで、世論はもっと冷静なのか、それとも消極論の強まりと相殺されたか▲昨日は東京都庁などで「100日前イベント」が開かれた。スポーツ面の記事に〈混雑回避のため事前告知はせず…〉とある。当の東京は「まん延防止等重点措置」の真っ最中、感染症の専門家や医療関係者はコロナ流行の「第4波」に言及し始めた▲高揚感とは無縁のままカウントダウンが進み、にぎわいを回避しながら聖火リレーが続く。それでも、東京五輪は開催に向けてひた走るのだろうか▲支持者が4人に1人しかいない事実は重い。最適解を探す議論と、その先の説得と納得。残りの時間は少ない。(智)


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