諫干堤防閉め切り24年 海の再生願い慰霊祭

慰霊祭で鐘を突く参加者=諫早市

 国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防閉め切りから24年となった14日、開門を訴える市民が堤防内にある長崎県諫早市白浜町の干潟跡で慰霊祭を営んだ。参加者らは閉め切りで死滅した生物や開門を求めながら亡くなっていった漁業者らを悼み、開門による海の再生を願った。
 慰霊祭は閉め切り翌年の1998年から福岡県の環境団体が毎年開き、多い時で100人以上の参加があった。近年は代表の遺志を継ぎ、メンバーだった自営業、沖牟田龍雄さん(75)=同県大牟田市=が個人で継続している。今年は有明海沿岸の福岡、熊本両県から計4人が集まった。
 閉め切りで淡水化され、雑木や草が生い茂るなど様変わりしたかつての船着き場に、焼香台や漁業者らの抗議行動などを記録したパネルを設置。湾が閉め切られた午前11時半に合わせて黙とうし、鐘を突いた。
 潮受け堤防を巡っては、国は開門せずに有明海再生に向けた基金で解決を図る方針を示している。沖牟田さんは、東京電力福島第1原発の処理水を海洋放出する方針を政府が正式決定したことも絡め、「自然との共生に日本人はもう一度転換しなければならない」と国を批判。約10年ぶりに参加した安岡亮輔さん(69)=福岡県宗像市=は「ここに昔の面影はない。開門確定判決(2010年)を履行しなかった国には憤りを感じる」と話した。

© 株式会社長崎新聞社