球団史上3人目の40代勝利 衰え知らずの鷹・和田毅が“年齢”を感じる瞬間は?

ソフトバンク・和田毅【写真:藤浦一都】

オリ山本との投げ合いに「僕が0点に抑えることができれば負けることはない」

14日にPayPayドームで行われたオリックス戦で球団では20年ぶり、3人目となる40代勝利を手にしたソフトバンクの和田毅投手。今季3試合目の先発マウンドに上がると、7回途中まで4安打無失点に抑える好投を見せ、今季初勝利をマークした。

オリックスには3連敗中、しかも、相手の先発は球界屈指の好投手である山本由伸投手だ。登板前からベテランの和田は堅く決意した。「相手は山本くん。あれだけの投手なんで1点を取るのも至難の業。僕が0点に抑えることができれば負けることはない」。その思いの通り、オリックス打線に1点も与えなかった。

初回を3人で片付け、流れを呼び込むと、2回に松田の適時打で先制点をもらった。周東、今宮、そして松田らバックの好守にも助けられて得点を許さず「全体的に良かった。気持ちで相手を上回れるようにというのをテーマにしていた。そのおかげか、いい当たりが正面に飛んだりとか、野手がアウトにしてくれたり、助けられてゼロに抑えられた」と振り返った。

足が攣ったために7回途中で降板となったが、わずか4安打に封じる好投。1991年の今井雄太郎、2001年の長冨浩志以来、球団20年ぶり3人目となる40代白星を手にした。また偉大な記録を残したベテラン左腕だが、「それだけ長くやらせてもらっているからだと思います。3人目はピンとこないですね」と淡々としたものだった。

年齢を感じる瞬間は「若者の言葉が分からない」

40歳とは思えないほどの若々しさを感じさせる和田。トレーニング量の多さ、ランニング量の多さは有名で、自主トレを共にする笠谷俊介投手ら若手が驚くほど。それでも、若かりし頃に比べれば、量は減っている。「10年前と違うのはもちろん分かっていますし、そこは変えていかないといけない」と語る。

一方で「今やれることをしっかりやっていけば、今日のように6回、7回投げられる」とも口にする。「理想はもっと投げられることですけど、なんとかゼロに抑えて次の投手に渡すのが理想なので。今日のような投球がいつもできれば最高。今日投げた時の気持ちを、また次回忘れずに投げたい」と、目指すところはもっと高いところにある。

マウンド上の姿も、そして普段の姿も若さが溢れる和田。そんな40歳が年齢を感じる瞬間はあるのか? すると、こんな答えが返ってきた。「若者の言葉が分からないな、と思うことはありますね。この前テレビで見ていて『なんだ?』というのはありました。娘に聞いたら『知ってる』と」。

肉体的な衰えを感じることはなく、食欲なども変わりはないという和田。奇しくも、4月14日は熊本地震から丸5年の日。左腕にとっては日本球界復帰1年目のシーズンに起きた震災だった。「被災されている人もまだたくさんいる。九州のチームとして勝ちたいと思ってマウンドに上がりました。被災された人が見て、勝って良かったなと思ってもらえたら嬉しいですね」と、熊本への思いも籠った40代勝利だった。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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