西海市長選終盤情勢 3陣営 支持固め懸命

選挙カーから手を振る候補者=西海市内(画像は一部加工)

 任期満了に伴う西海市長選は18日の投票に向け、終盤戦に入った。前市議で新人の田崎耕太候補(38)=無所属=、現職の杉澤泰彦候補(68)=無所属、自民・公明推薦=、岩本利雄候補(78)=無所属=が「継続か刷新か」を争点に舌戦を続ける。コロナ禍のため、各陣営は個人演説会を自粛。組織戦を展開する現職に対し、新人候補は街頭演説にも力を入れ、支持固めに懸命だ。
 「リーダーが変われば西海市が変わる」。14日午後3時、大島町の商業施設前で街頭演説を終えた田崎候補に年配男性が近寄り声をかけた。「これからは若い人に頑張ってほしい」
 組織に頼らない選挙を展開する田崎候補。過去2回の市議選と比べ「反応はいい」と手応えを語る。大島では主要バス停ごとに車を止め、公約のポイントを熱弁。目標得票数は「審判を受ける側なので慎みたい。最後まで全力を尽くす」とし、支持拡大を図る。
 その5時間前、同町の漁港で現職の杉澤候補は「勝ち抜くためには皆さまの力が必要」と訴えた。
 政党や地元企業・団体など30以上の推薦を得て組織戦を展開する。告示後の出陣式では国会議員や県議らを前に、松島火力発電所の高効率化などの重点課題について「先生方のお力が必要」と国政、県政とのパイプを強調した。後援会は世話人らを集め、引き締めを強化。選対幹部は「選挙はふたが開くまで分からない」と緩みを警戒する。
 同日午前10時半、岩本候補は大島町の商業施設前でマイクを握った。「市民の要望を一つでも多くかなえたい。必ず実行します」
 岩本候補も小まめに街頭演説を行う。選挙戦に入り、年金生活者や子育て世代から「経済的負担を減らして」との声を聞き、「訴えは伝わっている」と実感。ふるさと納税寄付金を財源に、免許返納者の公共交通無料化、子育て支援の充実などを説く。「一人でも多くの人に、政策を訴えたい」と遊説を続ける。
 前回の投票率は77.84%。田崎陣営は「前回並み」、杉澤、岩本両陣営はコロナ禍や有権者の高齢化などを踏まえ75%前後とみている。現職が示す一定の組織力を、新人の両候補が変革の訴えや草の根戦などで切り崩せるか-。浮動票の行方が一つの鍵になりそうだ。
 有権者数は2万2979人(男1万1148、女1万1831)=10日現在、市選管調べ=。

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