老舗かまぼこ店で大卒資格を 通信制大学と連携 小田原

単位が取得できる大学カリキュラムの一環として行われた新入社員向けの研修=小田原市風祭の鈴廣かまぼこ博物館

 大学に通えないまま社会に出た社員に働きながら学んで大卒資格を得てもらおうと、創業156年の老舗かまぼこ店「鈴廣蒲鉾(かまぼこ)本店」(小田原市風祭)は4月、通信制大学「星槎大学」(箱根町)と連携して社内に「鈴廣星槎大学」を開校した。1期生12人が入学した。研修制度を大学に模した企業内大学は多いが、社内研修で学位が取得できるケースは全国的にも珍しいという。大学関係者は「働きながら学ぶことが広がれば、教育格差による負の連鎖を断ち切ることにつながる」と期待する。

 「森と海はつながっている。森が健康な状態でなければ海からかまぼこの原料になる魚もいなくなる」。SDGs(持続可能な開発目標)をテーマに16日に行われた新人研修。23人の新人に教育担当者が、同社が行っている森林保全などのSDGsの取り組みを説明した。

 座学の後は松田町内の山林に足を運び下草処理などに汗を流した。新入社員のうち高卒組4人が鈴廣大へ入学。この日の約6時間の研修も「共生科学実践特別演習」2単位分のカリキュラムの一環で、新入生には1600字分のレポートが追加で課される。

 鈴廣大では同社の社員研修のほか、星槎大の通信教材やオンライン授業を単位として認定する。地域との共生やSDGsなどを学ぶ「共生科学科」の学生となり、卒業まで必要な124単位を5年間を目安にして取得。日常業務や社業として取り組んでいる地域の催しへの参加も単位として認められるという。

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