楽天・涌井が無傷3連勝!「あいつが投げるんで勝ち星を引き離しておかないと」

日本ハム打線を7回1失点に封じた楽天・涌井

楽天・涌井秀章投手(34)が16日の日本ハム戦(東京ドーム)で7回5安打1失点で無傷の3勝目。11年ぶりの10奪三振もマークするなど開幕から安定の4試合連続ハイ・クオリティー・スタート(HQS=7回以上を自責点2以内)で4―1とチーム7試合ぶりの勝利に貢献した。

121球の熱投を終えた涌井は「久しぶりに納得のいく球が投げられて、去年の最初の頃の感じに戻りつつある。先制点は取られましたが、1点でしのいで投げ切ることができたんで満足はしています」と投球への充実感を語った。

投球の基本であるストレートでグイグイ相手打線のバットを押し込んだ涌井は「140前半の球でも空振りが取れていたので、そこはよかった」とも付け加えた。

この1週間、チームは3分けを挟んで3連敗。自身の登板から始まったトンネルを自らの投球で抜け出したことに背番号16は「昨日の試合で浅村がああやって悔しがる姿を見ていて、自分も自然に今日は気持ちが入っていた。ピンチの場面でもそういう姿勢を見せられたかなと思う」と同じ西武出身の後輩の姿が闘志に火をつけてくれたことを語った。

いい形で17日に復帰登板を迎える田中将にバトンをつないだ。これに涌井は「あいつが投げるんで、なるべく勝ち星を引き離しておかないと、後から追いかけられるんで心配していた」と冗談めかしながらこう続けた。

「結果的にいい流れで渡せるかなと思う。(田中将は)すごく頭がいいので、たぶんゲームプランとかを自分で組み立てていると思う。ちょっと勉強しつつ見たいと思う。一野球選手として見ようかなと思う」

田中将が前人未到のシーズン24連勝を成し遂げた2013年当時、西武に在籍していた涌井は先発として調子が上がらず、前年に続いてリリーフでの登板が多かった混乱期。楽天の大エースとなっていた田中将とは先発でまともに対戦できていない苦しい時期でもあった。その両者が、まさかこうして同じユニホームを着ていることはもちろん当時誰も想像すらできなかっただろう。

頼もしい後輩の凱旋登板のお膳立てをできたことは、少なからず今の楽天のエース・涌井の小さな喜びとなっているのかもしれない。

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