「巨人とのマッチレースになる可能性」 首位・阪神の盤石投手陣をOB捕手も高評価

首位阪神を支える盤石の投手陣【写真:荒川祐史】

虎は盤石救援陣が強み「先発は5回まで抑えればいい」

■阪神 2ー0 ヤクルト(16日・甲子園)

セ・リーグ首位の阪神は16日、本拠地・甲子園球場で行われたヤクルト戦に2-0で勝ち6連勝。14勝4敗として“貯金”は2桁の10に達した。2位・巨人とは3ゲーム差。2005年以来16年ぶりの優勝へ向け、独走態勢を固めつつあるのだろうか。

今季の阪神は投手陣の充実ぶりが凄い。この日は先発の藤浪晋太郎が6回途中まで5四死球を与えながらも3安打無失点に抑え、その後は小林慶祐、岩貞祐太、岩崎優、守護神ロベルト・スアレスのリレーで零封勝ちを収めた。先発陣は藤浪の他、西勇輝、秋山拓巳、青柳晃洋、ジョー・ガンケルも好スタートを切っている。

現役時代にヤクルト、日本ハム、阪神、横浜(現DeNA)で通算21年間捕手として活躍した野球評論家の野口寿浩氏は「コロナ禍で延長戦がなく9回打ち切りの今季は、極端な言い方をすれば、阪神の先発陣は5回まで全力で抑えればいい。6回以降は小林、岩貞、岩崎、スアレスの4人が盤石ですから」と指摘。「さらに新外国人のラウル・アルカンタラ、日本で実績のあるチェン・ウェインが控え、右脇腹を痛めて離脱中の高橋遥人もいずれ戻ってくると考えると、ますます心強い」と見る。

その阪神にとって不気味な存在となるのが、昨季まで13年連続勝ち越しなし(2009、10、11年は五分。今季は3試合2勝1敗)の巨人だろう。現状はコロナに感染した丸、ウィーラー、若林、中島が離脱中。来日が遅れていたスモーク、テームズの両新外国人の1軍合流は近そうだ。

野口氏は「巨人は今後の上がり目が大きく、阪神の独走を許さないのでないか」と分析。その上で「阪神と巨人が他4球団を引き離し、マッチレースとなる可能性はある」と言う。

阪神・佐藤輝明【写真:荒川祐史】

ドラ1佐藤輝、燕20年目の左腕に2三振「“石川ワールド”に引き込まれた」

となれば、阪神では昨季までの対巨人コンプレックスとも無縁のドラフト1位ルーキー、佐藤輝明内野手の存在が鍵になるかもしれない。佐藤輝はこの日、前日までの2試合連続本塁打から一転、3打席3三振に終わった。

ヤクルト先発でプロ20年目左腕の石川には2打席連続3球三振と手玉に取られ、第3打席も3番手で登板した左腕・坂本に対し、カウント1-2から外角低めのスライダーを振らされ三振に倒れた。

「佐藤輝にとって初対戦の石川は、これまでプロで見たことのないタイプの投手だったと思う。外角へ逃げていくスライダーと内側へ切れ込むシンカーが、手元に来るまで同じスピード、同じ軌道に見える。“石川ワールド”に引き込まれ翻弄された」と野口氏。「とはいえ、対応力の高い打者なので、傾向を把握して臨む次回対戦が楽しみです」と付け加えた。

佐藤輝は16日現在、18試合に出場して打率.227。リーグ2位タイの5本塁打を放ち、両リーグを通じて最多の29三振を喫している。阪神の快進撃とドラ1ルーキーのフルスイングから、しばらくは目を離せない。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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