3月の大規模黄砂解析 大気汚染物質飛来 長崎大・中山准教授 きょう、あすも注意を

長崎市における大気中の物質の変化

 3月29~31日に大規模な黄砂が飛来する1日ほど前から人為起源の大気汚染物質が飛来していたとする解析結果を、長崎大環境科学部の中山智喜准教授(大気環境科学)が16日、発表した。17日から18日にかけても黄砂が予想され、中山准教授は「大気汚染物質も飛来する可能性がある。特に、呼吸器系などに影響を及ぼす恐れもある」として注意を呼び掛けている。
 中山准教授は同大文教キャンパスで自動車の排ガスなどに含まれる「スス(黒色炭素)粒子」や「一酸化炭素ガス」などを測定している。今回、県が長崎市内で観測している浮遊粒子状物質「SPM」と微小粒子状物質「PM2.5」のデータを加えて、黄砂飛来時の大気中の物質を分析した。
 黄砂のピークは3月30日の午後だったが、スス粒子と一酸化炭素ガスは28日午後から濃度が高まり、通常の2~10倍ほどに上昇していた。
 中山准教授は「アジア内陸部から飛来する黄砂に先立ち、西風に乗って沿岸部の都市などから大気汚染物質が運ばれてきた可能性がある」と指摘する。
 黄砂は直径1~20ミクロン程度で、PM2.5は直径2.5ミクロン以下、SPMはより大きな粒子も含む。大規模な黄砂飛来時にはPM2.5とSPMの両方が増加する。スス粒子は主に1ミクロン以下と小さく、肺の奥深くまで入り込み健康に影響しやすいという。
 中山准教授は「大規模な黄砂はまれだが、黄砂と同時または少し早めに飛来する大気汚染物質にも注意してほしい」と話している。

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