「放射線の影響2世にも」 長崎県被爆二世の会・体験を聞く会を初開催

丸尾さんがオンラインで講話した「体験を聞く会」=長崎市、県勤労福祉会館

 被爆者を親に持つ被爆2世でつくる「長崎県被爆二世の会」は2世としての体験を語る取り組みを始めた。戦後75年以上が過ぎ、2世の高齢化も進んでいることが理由。初回は同会会長で、がんで闘病中の丸尾育朗さん(73)が講話し「放射線の影響は2世にも及ぶと考えざるを得ない状況が続いている」と強調した。
 丸尾さんの母は24歳の時、爆心地から4.5キロで被爆。2年後の1947年に丸尾さんは生まれた。原爆放射線の遺伝的影響などを訴える被爆2世の運動に尽力してきたが、2018年膵臓(すいぞう)がんの手術を受け、今年に入って転移が見つかった。今は抗がん剤投与を受けている。
 初めて開いた「体験を聞く会」は10日、長崎市桜町の県勤労福祉会館であり、約30人が参加。新型コロナウイルス感染防止のため、オンラインで講話した丸尾さんは、母を膵臓がんで亡くし、被爆2世の職場の同僚らもがんで相次いで亡くなったと証言。30代の頃、2世への放射線の影響を耳にしても「自分は大丈夫だとしか思っていなかった」と振り返った。
 被爆者運動の継承のため「核にも戦争にも反対」と訴え続けてきた。「被爆者の思いを引き継ぎ、自身の体験も踏まえ、核兵器が廃絶されるまで訴え続けなければならない」と決意を語った。
 「体験を聞く会」は随時開催する予定。

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