長崎市職員OB発刊「被爆体験記」 田上市長に贈呈 

田上市長に発刊の経緯などを語る川上支部長(左)=長崎市役所

 長崎市職員OBなどでつくる県市町村職員年金者連盟長崎支部は、被爆者で元市長の故・諸谷義武氏など退職した市職員21人の被爆体験をまとめた体験記を発刊した。200部作り、市や県立図書館などに寄贈した。
 支部発足10年を記念し、一昨年秋ごろから制作を開始。国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館の被爆体験記集(通称、黒本)などから元市職員の証言を探し出した。
 体験記は約60ページ。諸谷元市長は被爆当時、市中心部は黒焦げの死体で道路も分からぬほどだったとし「まさに地獄としかいいようがなかった」と記した。そのほか、故・内田伯さんの詩も掲載している。
 川上正徳支部長らが13日に市役所を訪れ、田上富久市長に贈呈。川上支部長は「被爆者の訴えを発信する一助になれば」。田上市長は「(体験記が)改めて原点を見直すきっかけになる」と語った。

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