【皐月賞】エフフォーリア圧勝1冠 無敗ダービーV見えた!

「1強」をアピールしたエフフォーリア

18日、中山競馬場で行われた牡馬クラシック第1弾・第81回皐月賞(中山芝内2000メートル)は、無敗のエフフォーリア(牡・鹿戸)が2着タイトルホルダーに3馬身差の圧勝。「混戦」たる戦前の論評を一気に覆す独走Vで、揺るぎのない「1強」を満天下にアピールした。昨年のコントレイルに続く無敗のダービー馬誕生はもはや確定的なのか? レースを振り返るとともに秘めたる可能性を探ってみた。

逃げてバテたワールドリバイバルをさばいて、横山武史=エフフォーリアがインに進路を定めた4角入り口。勝負はその一瞬で決したと言っていいだろう。わずか310メートルの短い直線で生まれた独走劇が、「混戦」の論評がいかに見当違いだったかを知らしめる。粘り込みを図ったタイトルホルダーの内から一気に抜けた加速力が強烈なら、後続との差を広げる一方の持続力は暴力的。終わってみれば3馬身差…。すべてにおいてライバル15頭を圧倒する衝撃ランで、クラシック第1冠は幕を閉じた。

「逃げそうな馬は2頭だけ。例年よりペースは遅くなると思い、迷いなく好位へ行きました」

GⅠ初制覇を遂げた横山武の騎乗ぶりも、22歳とは思えぬ冷静さに満ちていた。見立て通り、5ハロン通過は60秒3の平均ペース。1番人気ダノンザキッドを前方に見てリズム良く道中を運んだ鞍上に対し、管理する鹿戸調教師がレース後、思わずまなじりを下げる。

「不利がないように、と思って見ていたが、4角も好判断をしてくれた。抜け出してからは間違いないだろうと安心して見てられました」

一体これだけの強さの源は何なのか? その問いに横山武が答える。

「最初の調教から馬体の良さだけでなく、想像をはるかに超える柔軟性を感じました。人の指示にも素直だし、一戦ごとに課題を克服する修正力がこの子のすごさかもしれないですね」

デビューから無傷の4連勝のみならず、驚くのはレース経験を重ねるごとに増す破壊力。後続との着差は0秒1→0秒2→0秒4→0秒5と広がり続ける。メンバーレベルは上がっているのに…。計り知れない伸びシロを、トレーナーが成長曲線とともに口にする。

「デビュー時は体質が弱くてピリッとせず、不安がたくさんあった馬。無理をせず牧場と連携してじっくりと調整し、今回は自信を持って送り出せる状態までになった。まだまだ成長してくれそうですね」

今後目指すは当然ながら、頂上決戦の日本ダービー(5月30日=東京芝2400メートル)。無敗のダービー馬誕生へ――おそらく距離、コース替わりともに追い風となるのは確かだ。

「大跳びで広い東京のほうが間違いなくいいタイプ。初めての距離で折り合いが一番のカギになってきますが、今日のように落ち着いてリラックスして臨めれば大丈夫でしょう」(横山武)

グレード制導入の1984年以降、皐月賞を3馬身差以上で制した馬はわずか3頭。85年ミホシンザン(5馬身)、94年ナリタブライアン(3馬身半)、11年オルフェーヴル(3馬身)。ダービー不出走の2冠馬に3冠馬2頭だ。もはやどのように勝つのか――それのみがダービーの焦点と言っていいかもしれない。

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