ブックセラーたちは「変わり者だけど聡明で素晴らしい人物たち」 映画「ブックセラーズ」監督インタビュー

世界最大のニューヨークブックフェアの裏側と、本を愛するブックセラーたちの世界を追ったドキュメンタリー映画「ブックセラーズ」が、4月23日より劇場公開される。劇場公開を前に、ニューヨーク在住のD・W・ヤング監督のインタビューが公開された。

ヤング監督は、ウディ・アレンやハル・ハートリーの映画に欠かせない“インディペンデント映画の女王”と呼ばれていた女優パーカー・ポージーや、マーティン・スコセッシのNetflix新作ドキュメンタリーでも知られる作家フラン・レボウィッツが映画に関わった理由、日本の神保町のことや日本版ポスターに登場する猫のことなどについて語っている。

―この映画を作るきっかけは?

「ブックセラーであり映画プロデューサーでもあるダン・ウェックスラーから、“ブックフェアに集まるブックセラーと本の映画を作らないか”と話があったんです。僕は若い頃に作家を目指していて、今も本好きで書店が大好きで、ブックフェアにも行っていたので素晴らしいと思いました。また、叔父と叔母が本屋をやっていたという個人的な思い出もあって、この映画は絶対やるべきだと思ったんです」

―登場するブックセラーたちが素晴らしいですね。
「ブックセラーたちは“良き変人(GOOD WEIRED)”ですからね(笑)。誰もが変わり者だけど聡明で素晴らしい人物たちなので、あまりに学ぶことが多くて完成まで丸3年かかってしまいました。でも映画監督としては、彼らだけでなく、本そのものがとてもヴァラエティに富んだ視覚的な存在だということにも大きな魅力を感じました」

―M・スコセッシのドキュメンタリー(『都市を歩くように-フラン・レボウィッツの視点-』 で再び注目されているというフラン・レボウィッツが登場したり、女優パーカー・ポージー(『ブロークン・イングリッシュ』)がナレーションだけでなく製作総指揮もした理由は?

「フランは作家で評論家でコメンテーターで、本の世界の偉大な人物だと誰にも認められています。それに、彼女の歯に衣着せぬ発言は有名で、ニューヨーク映画祭では彼女のユーモアあふれる発言に笑いが起きてましたね。彼女に登場してもらったのは、ブックセラーの世界を描くにはそこから少し距離のある人物の視点が必要だと思ったからです。パーカー・ポージーもニューヨークのカルチャーを語る上でとても重要な人物です。本をとても愛していて、ナレーションだけでなく、映画を絶対に完成させて成功させようと言ってくれて製作総指揮を引き受けてくれました。二人だけでなく、本を愛する人たちの協力があってこそ、この映画は完成しました。ニューヨークでも書店の状況は厳しいですが新しい潮流もあります。ただ過去を懐かしむのではなく未来も感じられる映画にしようと思いました」

―「世界 本の日」(4/23)に日本で映画が公開されることは知っていましたか?
「公開日を知らされた時、妻のジュディス(本作のプロデューサー)がすぐに気付きました。素晴らしいアイデアだと思いましたが、偶然この日になったと聞いて、とても驚きましたよ」

―日本の観客へのメッセージをお願いします。

「パンデミックのため、世界の多くの地域では映画館で公開できなかったので、日本では映画館で公開してくれることに感謝しています。ドキュメンタリー映画はいつも発見の旅だと思っていますので、皆さんも何かを発見してくれたらと願っています。今回、インタビュアーの皆さんが、日本には素晴らしい本の街“神保町”があると教えてくれました。まだ日本に行ったことがないのですが、いつか必ず神保町を訪れたいですね!それから、日本版ポスターを羨ましく思ってるんですよ。僕らもポスターに猫を入れたかったんだけど、なぜかアメリカでは受け入れられなかった。ブックカルチャーと猫には伝統的に繋がりがあると思います。猫はミステリアスで、本と同じでいつも発見がある。猫はこの映画の物語の一部だと言えますね(笑)」

【公開情報】
ブックセラーズ
2021年4月23日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、UPLINK 吉祥寺ほか全国順次公開
配給:ムヴィオラ、ミモザフィルムズ
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