社説:三たび緊急事態 医療崩壊を食い止めよ

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 新型コロナウイルス感染者の急増で医療崩壊の危機にある大阪府が、緊急事態宣言の発令を政府に要請した。

 昨年春以降、3度目の宣言となる見通しだ。重症患者数が確保病床数を上回っている現状を考えれば、発令要請はやむをえない。

 隣接する兵庫県も同一歩調をとる方針だ。京都府の西脇隆俊知事は「状況を見極める」としているが、感染拡大の速度に後れてはなるまい。今より強い対策を検討せざるを得なくなるのではないか。

 大阪、京都、兵庫には2月末まで緊急事態宣言が出ていたが、吉村洋文大阪府知事が主導する形で解除された。ただ、専門家は感染再拡大の可能性を指摘していた。

 感染力が強い変異株が急増し、わずか1カ月半余りでまたも発令を要請せざるを得なくなった。

 その事実を重く受けとめねばなるまい。

 大阪府は飲食店への営業時間短縮を要請するなど「まん延防止」の重点措置を実施中だが、奏功していない。重症者の増加で一部の病院は一般診療の制限に追い込まれている。これ以上の事態悪化は何としても防がねばならない。

 重要なのは、緊急事態宣言の発令で、効果の上がる対策を打てるかどうかだ。宣言下では事業者への休業要請が可能となり、命令違反者への過料も重くなる。

 府は飲食店のほか百貨店やテーマパークなどの大型施設に休業を求め、人出を抑制するという。

 繰り返される自粛生活の呼び掛けで、府民には「慣れ」が生じているようにみえる。実効性の確保はこれまで以上に難しくなろう。

 鍵を握るのは、住民の理解と協力だ。感染状況や医療体制の現状を説明し、対策の根拠をしっかり語る姿勢が欠かせない。

 宣言が出た場合の対応として、大阪市の松井一郎市長は市立小中学校の授業を原則オンラインにするとした。だが、通信環境や保護者が在宅できるかどうかなど課題は多い。住民の事情に寄り添った緻密な対応策が必要だ。

 2度目の宣言で、政府は解除の目安を感染程度が上から2番目のステージ3(感染急増)とした。甘い基準での解除は心配通り、その後の感染再拡大につながった。

 同じ轍(てつ)を踏んではならない。どこまで感染を抑えれば次の段階に進めるか、科学的根拠に基づき、展望と行程表を示す必要がある。

 医療機関への人的支援も急ぎたい。政府は看護師などを広域で確保する調整に力を注いでほしい。