RSC第3戦はSVGが開幕6連勝も、僚友の7冠王者が更新を阻止。モスタートもWAU移籍後初勝利

 オーストラリアはクイーンズランド州の州都、ブリスベンでの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大により、1週間遅れとなったRSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップの第3戦タスマニア・スーパースプリントが4月16~17日にシモンズプレイン・レースウェイで開催された。

 その土曜オープニングでは、開幕以降の2ラウンド5戦で全勝を挙げている“SVG”こと、シェーン-ヴァン・ギズバーゲン(ホールデン・コモドアZB)がポール・トゥ・フィニッシュで最初のヒートを制覇し、自身6連勝を達成。すると、Triple Eight Race Engineering(トリプルエイト・レースエンジニアリング)のWエースを務める“7 Times Champion”ことジェイミー・ウインカップが、続く日曜午前のヒートで意地の今季初優勝を飾り、SVGの連勝記録更新を阻止してみせた。

 さらに午後の最終レースでは、Walkinshaw Andretti United(ウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッド/WAU)移籍2年目のチャズ・モスタート(ホールデン・コモドアZB)がWAUでの初優勝を挙げ、ホールデン陣営が3戦3勝を記録してフォード勢を圧倒する週末となった。

 依然としてCOVID-19に翻弄される世界的な情勢に漏れず、南半球の大陸でもスケジュールどおり開催日程が進まない苦心のシリーズ運営が続いている。そんな状況下もあり、スーパーカーの運営側は第2戦に続いてフォーマットの小変更を実施し、週末の3ヒートともに当初予定されていた46ラップではなく、それぞれ44ラップに短縮することを決定。最大レース距離を106km強とすることをアナウンスした。

 これは一部チームが燃費の問題を抱えていることが原因の可能性としてありつつも、シリーズ側は「レースをピットストップフリーのままにし、燃料を節約するのではなく、ドライバーがレース全体を通してプッシュできるようにしたい」と考えての決断だったと説明した。

 そんななか始まった土曜の計時予選では、この時点で2021年唯一の優勝経験者であるSVGが勢いを見せ、幸先よくレース1のポールポジションを獲得。開幕戦後のマウンテンバイク・トレーニング中に鎖骨骨折のアクシデントに見舞われながら、怪我が完治しないなかで強行出場した第2戦では週末“クリーンスイープ”の3連勝を達成し、1994年以来の開幕5連勝を記録中の圧倒的スピードを誇示した。

1週間遅れの開催がケガの回復に奏功したSVGが、土曜の予選と決勝を制圧する強さを維持
日曜は早々にポールシッターを仕留めた“7 Times Champion”ことジェイミー・ウインカップが今季初優勝
Triple Eight Race Engineering(トリプルエイト・レースエンジニアリング)のWエースが、ポジションを入れ替えての連日ワン・ツーフィニッシュを達成した

■レース2はモスタートが制し、トリプルエイト勢の連勝を『8』で止める

 レース1スタートこそフロントロウに並んだ公式練習最速のTickford Racing(ティックフォード・レーシング)、キャメロン・ウォーターズ(フォード・マスタング)にホールショットを奪われたものの、落ち着いて対処したSVGはバックストレートエンドですぐさまポジションを取り戻し、オープニングラップを首位で通過。

 チェッカー間際には4ポジションアップの力走を見せた僚友の7冠王者ウインカップを従えて、自身6連勝をワン・ツーフィニッシュで飾る、完璧なレースを披露した。

 明けた日曜午前の計時予選では、前日6位に敗れ去ったウォーターズが2戦ともにポール獲得で先手を打つも、このレース2で2番手グリッドから発進したウインカップがレース全域で老獪にプレッシャーをかけ続けると、終盤の逆転劇で今季初勝利。自身通算123勝目を挙げると同時に、SVGの連勝をストップさせる結果となった。

 このレース2でも、2位のSVG、そして前日のアントン・デ・パスカーレに代わり3位に入ったDick Johnson Racing(ディック・ジョンソン・レーシング/DJR)、ウィル・デイビソン(フォード・マスタング)の背後4位まで下がっていたウォーターズは、続く最終ヒートで失地回復を期すことに。

 しかし再び主役をフロントロウ発進のライバルに奪われるかたちになり、スタートでリードを得たモスタートが、そのまま後ろを振り返ることなくスパート。WAUにとっては2018年のF1併催戦のアルバートパーク以来、そして自身にとっては元同僚を下してのチーム移籍後初優勝と、ホールデン・コモドアZBでの2年越しの初勝利を飾ることとなり、同時に昨季から続くトリプルエイト勢の連勝を『8』で止める価値あるリザルトを手にした。

「僕自身も2019年以来の勝利だが、ここまで本当に長く感じたよ」と、今季はTCRオーストラリアでのデビュー以降、連勝を飾っているモスタート。

「前回のサンダウンではポールポジションを獲得しながら、表彰台にさえ上がれなくて『今季も我慢の年なのか』と感じていたんだ。この狭いトラックで予選は混戦になったが、週末を通じてうまくセットアップをまとめることができた」と続けたモスタート。

「ついに勝利を勝ち獲れて本当に興奮したし、チームには最高の報酬だ。表彰台からガレージに戻るあいだに、20kgも痩せたような気分だ(笑)。次は得意なザ・ベンドだし、このレベルの自信を得て臨めるのが本当に楽しみだ」

 これで865点でランキング首位を行くSVGと、同726点でランク2位浮上のウインカップに続き、700点で3位に浮上したモスタート。続く第4戦ザ・ベンド・モータースポーツパークでのスーパースプリントは、5月8~9日の開催が予定されている。

開幕から予選最速を記録するスピードを披露していたチャズ・モスタート(ホールデン・コモドアZB)がここで躍動
今季からRSCデビューのTCRオーストラリア初代王者ウィル・ブラウンは、キャリアベストの2戦連続5位を獲得した
「これまでの表彰台も励みにはなったが、やはり勝利の重さは格別だ」と、喜びを語ったチャズ・モスタート

© 株式会社三栄