コロナで海水浴場閉鎖なら山へ? 昨年の山岳遭難件数が増加 神奈川

 神奈川県内で2020年に発生した山岳遭難件数と遭難者数がともにこの10年で最多を記録したことが、県警のまとめで分かった。山本仁本部長は21日の定例会見で「ゆゆしきこと。対策に力を入れたい」と述べた。

 県警によると、20年の遭難件数は前年比40件増の144件。10年前の2倍に達した。遭難者数も同52人増の176人。うち死者は6人(同1人減)、負傷者は70人(同26人増)だった。

 遭難の種別は道迷いが80人で最も多く、滑落・転落が31人、転倒28人と続いた。全体の8割が、疲労が蓄積する下山中の発生だった。コロナ禍で緊急事態宣言が発令されていた5月の大型連休中の遭難が大幅に減った一方、海水浴場が閉鎖された8月に大幅に増えたという。

 山本本部長は「県内の山は初心者向けでアクセスが良いが、気軽に行けるだけに準備が足りず、事故に遭うケースが増えている」と分析。「今年の大型連休は人出が増えることが予想され、しっかりと警戒していきたい」とし、安全登山の4項目(入念な計画、体調管理、早めの出発、装備品の携行)の順守を呼び掛けた。

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