未来への審判~糸魚川市長選・市議選〈2〉 市長選 期待票集めるも惜敗 久保田氏、政策で新風

 「はじめよう、新しい糸魚川。」をスローガンに掲げ、「ひとづくり」による「未来創り」を前面に打ち出し戦った新人の久保田郁夫氏(63)。現職の米田徹氏(72)と互角の接戦を繰り広げ1万2079票を獲得したが惜敗、市政刷新の挑戦はかなわなかった。

 海洋高校長を4年間務め、産学官連携、キャリア教育、相撲部強化などで実績を残した久保田氏。退任後は市産学官推進企画幹に就任し1年9カ月間、大学との連携、地元3高校の魅力化、中学生対象のキャリアフェスティバルなどに関わった。ある市職員は「市を離れ残念な思いもある。良い施策は引き継がれる」と話した。

 昨年12月24日に辞職し、出馬を正式表明したのは本番まで3カ月を切った1月26日だった。決断理由を「恩返し」と説明し、「わくわくする糸魚川」に向けた政策を提示、時代の変革期にあって若い世代との「つなぎ役を果たす」とも語った。米田氏には感謝と敬意を示し、対立構図を否定した。

 海洋高、糸魚川高、バスケットボールなどでつながる支援者が参集し、コロナ禍の制約を受けながら市民党、草の根の活動を展開。連日街頭で手を振り、広大な市域を意欲的に回った。

 地元の寺島・横町区の応援を受け、告示後は、地区推薦や政策の近い市議選候補と緩やかに連携。最終日の演説では「大横綱(米田氏)に勝つことで恩返しをしたい」と、市政を担う覚悟を示した。

 当選後の会見で米田氏は「私が足元を見ていて、久保田さんはその前を見ているようだった」と話した。久保田氏の大量票は、新しい政策や世代交代への期待票でもあった。

選挙戦最終日の街頭演説に臨んだ久保田氏(17日、中央大通り線で)

© 株式会社上越タイムス社