西海市のこれから 杉澤市政2期目へ(上)「特別支援教育」 地元で学べる環境整備を

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長女みのりさん(左)を見送る浦上さん=県立川棚特別支援学校

 任期満了に伴う西海市長選で現職の杉澤泰彦氏(68)が再選した。1期目に引き続き「市民目線」を掲げる杉澤市政。向き合う課題を探った。

 「いってきます」。20日午前8時、長崎県東彼川棚町の県立川棚特別支援学校。西海市西海町の浦上紀代子さん(51)は、同校高等部に通う長女、みのりさん(15)を手を振って見送った。早朝から長男、次男を学校に送り出した後、自宅から車で30分。この後、紀代子さんは西海市内の職場へ向かった。
 ダウン症のあるみのりさんは地元小学校の特別支援学級を経て、3年前に川棚特別支援学校の中学部に進学。体調のケアや子どもの学力・個性に合った教育が受けられることが決め手だった。
 「先生もお友達も大好き。早く学校に行きたい」と話す娘のことを思えば、運転は苦にならないが、みのりさんの担当医から、「家族が体を壊すと、通学できなくなる。頑張って」と励まされたことも。
 帰りは市内支援施設の車が迎えてくれるが、「仕事の時間が制限される。今からのお母さんのことを考えると、小中学部が市内にあってほしい」と願う。
 西海市には、以前から特別支援学校の開設を求める声が強く、2016年、県立鶴南特別支援学校の高等部分教室が県立西彼杵高(大瀬戸町)の敷地内に開校。現在6人が学ぶ。
 小・中学生対象の支援学校はないため、市内14校の特別支援学級か、市外の特別支援学校に通ったり、寄宿舎生活をしたりするケースもある。数十人が市外の学校に在籍しているという。
 保護者らでつくる「西海市に特別支援学校を設置する会」の草野恵子会長(59)によると、特別支援教育を受けるために転居したり、慣れ親しんだ環境で学習を続けたいという子の思いから、高等部も続けて市外に通ったりする例もある。「市内に小中の支援学校があれば、地元で学び、地元に就職という環境が整う」と期待を込める。
 同会は昨年9月、市内のニーズを探るため、市の協力で未就学児から中学生までの保護者約2700人を対象に調査を実施。約120人が特別支援学校に「就学希望」と回答した。
 これを受け今年2月には杉澤市長らが、県や県議会議長に要望書を提出。県は「ニーズを精査し、市教委とともに検討を進めたい」とした。県の特別支援教育推進基本計画によると「継続して10人以上が在席」を分教室の設置の条件としている。
 杉澤市長は取材に「実現しなくてはならない課題。要望をしっかり続け、市の受け入れ態勢も整えたい」と話す。