出征兵士の思いつづる 企画展「Letter 戦争と記録」 家族への遺書など紹介 口之津歴史民俗資料館

出征兵士の手紙や遺書など紹介する企画展=南島原市口之津歴史民俗資料館

 日露、日中、太平洋戦争中に現在の長崎県南島原市口之津町から出征した兵士が戦地から家族に宛てた手紙や遺書を紹介する企画展「Letter 戦争と記録」が、同市口之津歴史民俗資料館(同町、市口之津港ターミナルビル2階)で開かれている。7月4日まで。
 開館1周年の記念企画。戦争の悲惨さや平和の尊さを次世代に伝えようと、地域住民などから同資料館に提供され所蔵している7点を展示している。
 長い年月を経て褐色に変わった手紙もある。草書体のような「くずし字」でつづられている。
 日露戦争時に満州へ出征していた口之津の兵士。戦友の妻へ宛てた「口之津兵士の手紙」は、「言葉では言い表すことができないほど残念に思う」などと凱旋(がいせん)直前に亡くなった9年来の友をしのんでいる。
 太平洋戦争末期の1945年春。鹿児島に向かう特攻隊員が口之津に寄港した際に記した遺書にはこうつづっている。
 「国のため、炎となりて敵船に必死必中体当たりせん」(海軍一等曹)
 「敵船めがけてまっしぐら」(一等飛行兵曹)
 敵戦艦に体当たりし爆死する決意が込められている。
 太平洋戦争中に地図などを入れるカバンとして使用された「図嚢(ずのう)」(兵士の遺品)も展示。銃弾が貫通した跡があり、戦争の生々しさを伝えている。
 市教委の中山和子学芸員(26)は「地域に残る資料から戦争のリアルさや平和の大切さ、戦争に赴いた人たちの思いなどを感じていただければ」と話している。
 入館料は一般200円、高校生150円、小・中学生100円。常設展も観覧できる。開館時間は午前9時~午後5時(入館は同4時半)で毎週月曜休館。

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