欧州スーパーリーグを〝秒殺〟した「剛腕」UEFA会長の素顔

UEFAのチェフェリン会長(ロイター)

世界を震撼させた欧州スーパーリーグ(ESL)構想を〝秒殺〟した欧州サッカー連盟(UEFA)のアレクサンデル・チェフェリン会長(53)の豪腕ぶりが脚光を浴びている。

ESLは世界中で大きな波紋を呼んだが、創設を発表後すぐにイングランド・プレミアリーグの6クラブが撤退を表明し、さらにスペインのアトレチコ・マドリードとイタリア3クラブも脱退を決めて〝三日天下〟で崩壊寸前に陥っている。

ヤリ手で知られるスペイン1部レアル・マドリードのフロレンティーノ・ペレス会長(74)を相手に、壮大な計画を瞬殺で葬ったUEFAのチェフェリン会長とは何者なのか。スペイン紙「エルコンフィデンシャル」が「220万ユーロ(約2億9000万円)を稼ぎ、フロレンティーノと戦う〝鬼〟」と題して、その人物像を特集した。

「刑法専門の弁護士で、50人以上の弁護士を擁する事務所を持っており順調だ。経済的な問題はなく、もはやお金を必要としない。彼の趣味はバイクと家族旅行で、プライベートジェットで旅をする。彼の妻は絵画ギャラリーを所有し、芸術に投資している」とそのセレブぶりを紹介した。

そんな敏腕弁護士がんぜUEFAの会長になったのか。「サッカーの世界が最も困窮している人々を助けるための連帯プロジェクトに関与してきた。MFフアン・マタのの慈善団体にも給料の1%を寄付している」と社会活動を通じてサッカーの世界へ身を投じた。

そして「小さなサッカー連盟の会長であるスロベニア人のチェフェリンが、オランダ人候補者のミシェル・ファンプラーグを圧倒して2016年9月に就任した。彼はジョセフ・ブラッターFIFA前会長から融資を受けたミシェル・プラティニUEFA前会長の失脚に悩まされていた組織で、古いスキャンダルを終わらせるための革新的なリーダーとなった」とサッカー界でも短期間で頭角を現し、若きリーダーとしてらつ腕を振るっている。

UEFAの年次報告書によると年間の報酬は220万ユーロだが、弁護士としての収入はそれをはるかに超えているとみられる。

こうした背景を踏まえて同紙は「ペレス会長は、古い体制と腐敗の打破を求めるスロベニア人弁護士の力を過小評価していたのかもしれない」と指摘。UEFA会長の豪腕により〝ESL反乱〟は秒速で制圧されたようだ。

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