スタートの改善に取り組み。成果が見えるも相次ぐ「想定外」の電気系トラブルは解析中/ホンダ本橋CEインタビュー(2)

 マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が第2戦エミリア・ロマーニャGPを制した大きな要因が、ウエットスタートで3番手から一気に首位を奪ったことだった。アルファタウリ・ホンダも角田裕毅がスタートをきれいに決め、順位を上げることに成功した。チームとホンダの密接な協力態勢の下、ローンチ性能の改善に努めた成果が出たのだった。

 一方でホンダ製パワーユニット(PU)は開幕当初から、電気系の不具合に見舞われている。開幕戦で出たピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)車のトラブルについては「しっかり対処し、再発はない」とのことだったが、第2戦では角田車に異常信号が出て、該当ユニットを全交換した。走行に大きな影響を与えるほど深刻なものではないようだが、とはいえホンダの本橋正充チーフエンジニア曰く「予想外のトラブル」なだけに気になるところだ。

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──アルファタウリもレッドブル同様、昨年何度かスタートで失敗をしていましたが、今季はチームとホンダとでかなり密接に改善に取り組んでいたのでしょうか?

本橋正充チーフエンジニア(本橋CE):はい。スタートでパワーユニット(PU)側にできる重要な部分はありますし、去年からそこはやってきました。(レッドブルとアルファタウリ双方の開発を担う)レッドブルテクノロジーと一緒にやってきたことが、成果となって出てきたのだと思います。

──滑りやすいウエット路面でのスタートで、特に威力を発揮しましたか?

本橋CE:結果的には、そうですね。いろんな状況を想定してやっているわけで、昨年で言えば第12戦ポルトガルGPはドライ路面でしたけど非常にグリップが低くて、アルファタウリ・ホンダもスタートを失敗している。今年はあらゆる局面に対応できるよう、しっかり準備してきたつもりです。

2021年F1第2戦エミリア・ロマーニャGP 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)

──一方でパワーユニットには電気系のトラブルが開幕戦から出ています。ガスリーと角田選手、それぞれ不具合の内容は違うものなのでしょうか。

本橋CE:違いますね。開幕戦と第2戦の不具合も違うものです。新たな状況が見つかったという感じでしょうか。

──想定外のトラブルということでしょうか。

本橋CE:開幕戦で起きた不具合に関しては、しっかり対策を施してきた。ところが今回、違うものが出ました。その意味では、予想していなかったです。

──開幕前テストでは、この種のトラブルは出ていなかったのですか?

本橋CE:はい。

──今年は開幕前テストが半分に制限されて、十分な実走テストができませんでした。もし通常の期間で走り込みができていたら、そこで初期トラブルが潰せていたかもしれないですか?

本橋CE:どうでしょう。これから解析を進めていけば、結論が出ると思っていますが。

──走行中の振動や熱が悪さをしたとか、そういう可能性はない?

本橋CE:何とも言えないですが、熱に関しては言われているほど高くないですしね。それ以外の可能性も、これからの解析結果を待つしかないですね。

2021年F1第2戦エミリア・ロマーニャGP 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)

──昨年もシーズン序盤に電気系のトラブルがいろいろ出ました。それとはまったく関係ない?

本橋CE:別物です。今年に向けては、昨年起きたことに対してしっかり対策しています。今回の件は想定外なので、しっかり調べようと思っています。

──パワーユニットのなかではバッテリー、電気系はトラブルが出にくいので、年間使用基数も他のユニットより少なく設定されていると思っていました。

本橋CE:まあ今回も壊れたというより、データ上わからない部分が出たわけです。壊れたというより、想定外の信号が出たと言ったほうが正確ですね。

2021年F1第2戦エミリア・ロマーニャGP ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)
2021年F1第2戦エミリア・ロマーニャGP ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)
2021年F1第2戦エミリア・ロマーニャGP 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)

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