ヘタフェ久保建英 古巣バルサ戦でフル出場も大敗で見えた「2つの課題」

ブスケツ(左)と競り合った久保(ロイター)

【スペイン・バルセロナ22日(日本時間23日)発】スペイン1部リーグ第31節、ヘタフェのMF久保建英(19)は敵地のバルセロナ戦で2試合ぶりに先発し、リーグ戦今季初のフル出場を果たした。だが、試合は2―5で大敗。久保自身だけでなく、チーム全体が抱える問題も浮き彫りとなった。

歳の時からバルセロナの下部組織で育った久保にとっては〝古巣〟との一戦。だが、カンプノウのピッチは甘くはなかった。

前半8分、バルサの自陣からのロングパスでFWリオネル・メッシ(33)に抜け出されて失点。12分にヘタフェは久保も絡んだ左サイドからのパス回しから相手のオウンゴールを誘発して追いついたが、28分にはDFのバックパスがGKの逆を突く痛恨の連係ミスでオウンゴール。さらに33分には浮き球のつなぎから右サイドのメッシに右足シュートを打たれ、左ポストに当たって戻ってきたところを再びメッシに押し込まれるという〝自作自演〟のゴールでリードを広げられた。

後半22分、左サイドから久保が折り返すと、これを受けたゴール前のFWウナルが倒された。一度は流した主審も1分後にVAR検証を行い、バルサDFアラウホのファウルとして、PKの判定に変更。これをウナルが決めて1点差に詰め寄った。

だが、42分にメッシのCKからアラウホに決められて失点すると、アディショナルタイム3分にもPKを献上。FWグリーズマンに決められて大敗を喫した。

久保はPKを獲得に関与した一連のプレーは及第点を付けられるが、それ以外で決定的なチャンスは演出できなかった。久保自身のスキルがバルサに通じないという現実の一方、緩慢なプレーでお粗末なミスを連発した守備陣が久保の足を引っ張ったのも確かだ。

先制を許したシーンは、メッシが特段の駆け引きをしたわけでもないのにあっさりと最終ラインを抜け出された。センターバックの注意力に問題があり、オウンゴールの場面も声の連係が不十分という初歩的なミス。DFが不安定なプレーを続けるため、中盤より前の選手の守備負担も増えた。

この試合で久保は3つのファウルを犯したが、最前線でのチェイスによるものではなく、いずれも中盤で相手のチャンスの芽を潰したもの。バルサには通じなかった久保自身の現時点での能力と、久保が攻撃に専念できないチームの緩さ。降格圏が迫るヘタフェには問題が多い。

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