「昨春並みの自粛必要」「自分は大丈夫の考え捨てて」 長崎大コロナ推計 第4波に強い危機感

市民に行動変容を呼び掛ける有吉教授(右)と泉川教授=長崎市坂本1丁目、長崎大医学部良順会館

 第3波の2倍以上-。新型コロナウイルス感染の第4波について長崎大が22日発表した推計は深刻な数字だった。「ステイホームを徹底した昨春並みの行動自粛が必要だ」。医師や研究者らの訴えには、医療崩壊に対する危機感がにじんでいた。
 「学生だけでなく、長崎県民だけでなく、九州全体の住民に知らせるべきだ」。長崎大医学部であった会見は、福岡県の記者にもオンライン参加を呼び掛けた。
 感染者数は第1波よりも第2波、それより第3波が多かった。長崎大学病院感染制御教育センター長の泉川公一教授によると、第3波の際は、同病院に続々と感染者の報告が届き、病状などの評価が追いつかない状況だったという。
 この経験を踏まえ、泉川教授は、病床が足りずに感染者を病院で受け入れられなくなる恐れがあると懸念した。市民に求める具体的な行動変容として「集まって楽しく飲んで、というのはリスクの一つになる」と強調。「自分は大丈夫だとの考えは捨てて」と自粛を呼び掛けた。
 感染者数が第3波の2倍以上となるシナリオAは、今後の市民の行動変容も一定加味したもの。これ以上対策を強化しない場合の「最悪のシナリオ」も示した。それによると、5月上旬に1日の陽性報告数が福岡県で千人を突破、長崎も200人を超えてしまう。長崎大熱帯医学研究所の有吉紅也教授は「皆さんの節度ある行動で本モデルの予測がよい方向に外れることと願う」と述べた。

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