サウナー必見!奥能登の自然の中でフィンランド式サウナ初体験。

ととのいました!

田舎のサウナとかけまして、クロムハーツ好きな人の手とときます、そのこころは…。

どちらもシルバーでにぎわっているでしょう。

……

のっけから失礼しました、ライターのヨシヲカです。

突然ですが、みなさんサウナってますか?

3密は避けられないということで、コロナ感染拡大後はめっきり機会が減った、という人も多いのではないでしょうか。

かくいう筆者も、ここ一年でサウナに入ったのは数える程度。数年前にパニック障害を発症したときは、自律神経の乱れを整えるため毎日のように通っていたのに、パンデミックには勝てないというのが正直なところです。

サウナーの間でも話題に。

そんなある日、サウナ好きの友人からこんな話を聞きました。

「ヨシヲカさん、能登町のズックのサウナって知ってます?山の中にあるテントサウナなんですけど、定期的にイベントも開催したりしていて、なかなか面白いっすよ」

これはこれは、ゴキゲンな情報をありがとう!というわけで、さっそくと向かってみました。

深い緑に囲まれた能登町宮地。交流宿泊所「こぶし」の敷地内に、噂のテントを発見。

金沢から車を走らせること2時間ちょっと。最寄りのコンビニまで数十キロという超ローカルな町に『ズックのサウナ』はありました。

見渡すかぎりの山、山、山!そして、青い空!

こんなところで、大自然を満喫しながらサウナが楽しめるなんて…。わくわくしますね。

こちらは『ズックのサウナ』を運営するオガマンさん。

北海道出身のオガマンさんが、能登町に移住したのは4年前。地域おこし協力隊の一員として、同地区にある民家民宿群「春蘭の里」の事務局スタッフに就任。任期を終えた現在は、こぶし敷地内でバー「ズック」を経営しています。ちなみにテントサウナは昨年の秋から始めたそう。

アウトドアで「ととのう」。

編集部:こんにちは!どうですか?サウナの調子は。

オガマンさん:ボチボチです。冬場は寒さもあって、テント内の温度を保つのに苦労したんですけど、気温も上がってきて、ようやく安定して稼働できるようになりました。

編集部:そもそもオガマンさんは、どうしてテントサウナを始めたんですか?

オガマンさん:湖のほとりにある北欧のサウナみたいに、自然の中でゆったりと汗がかけたら気持ち良いかなと思って。

編集部:たしかに、サウナというかアウトドアというか、両方の良さがミックスしてる感ありますよね。

オガマンさん:銭湯や温泉で入るサウナもいいけど、テレビとかお客さん同士の会話とか雑音が気になるときもありますからね。

編集部:ここにはテレビもラジオもねぇけど、薪が燃える音とか川のせせらぎが聞こえてきて、最高にチルできますね。

オガマンさん:定員は5名で、貸し切りもOK。密を避けたコロナ需要も増えるんじゃないかと期待しています。

センス抜群なズックのグッズは、オンライストアで販売中。

編集部:どんなサウナが楽しめるんですか?

オガマンさん:ロウリュです。

編集部:あ〜、ハッピをきた熱波師が大うちわで仰いでくれるやつだ。あれ、何回もおかわりしちゃうんだよなぁ。

オガマンさん:どうですか?せっかくなので入っていっては。

編集部:へぇ、じつはそのつもりで。着替えやらなにやら持ってきてます。

オガマンさん:それでは火を起こすので、ちょっと待っててくださいね。

耐熱性に優れたフィンランド「savotta」社製のテントを使用。出張サウナやテントの貸し出しなども行っている。

意外と知らないロウリュの意味。

ここで「ロウリュ」とはなんぞや?という方たちに、簡単な説明をしておきましょう。

ロウリュとは、サウナ発祥の地であるフィンランドのサウナ入浴方法で、ストーブの上で暖められたサウナストーンに水をかけて蒸気を発生させること。蒸気を発生させることで、サウナ室内の湿度、体感温度が上がり発汗を促します。それにより、身体の新陳代謝、活性化の促進が期待できます。(出典:フィンランドサウナジャパン)

筆者も勘違いしていましたが、スーパー銭湯のサウナでよくある熱風を浴びせるイベントは、厳密にいうとロウリュではなく「アウフグース」と呼ぶらしいです。

ちなみにアウフグースは、フィンランドではなくドイツ発祥のアクティビティ。フィンランドでは入浴している人自身がストーブに水をかけるのが一般的で、パフォーマンスを伴うものはほとんど行われていないんだとか。

蒸気を発生させるための水。アロマオイルを使用する店も多いが、ズックのサウナでは自然のものを使う。今回、用意してくれたのは、コリアンダーやクミンなどのホールスパイスを煮詰めたものと、ほうじ茶の2種類。4/20の麻の日にはCBDオイルのロウリュも振る舞ったそう。

編集部:それではいただきます!あっ、ほどよい室温で。これはいい汗かきそう。

オガマンさん:今さっき蒸気を発生させたばっかりなんで、温度は80度くらいですかね。

編集部:着衣のまま入るのもOKなんですよね?

オガマンさん:どっちでも。ただ、裸の方が汗はかきやすいんですよね。

編集部:そうなんですか。

オガマンさん:ロウリュやってみますか?

編集部:えっ、いいんですか?

オガマンさん:どうぞ、どうぞ。それではスパイスの方を。

サウナストーンがアツアツになった状態で水をかける。立て続けにかけると石の温度が下がってしまうので、ここぞというタイミングでかけるのがコツ。

編集部:うわーっ、スパイシー!そんでもって熱気がすごい。一瞬にして温度が上がりましたね。

オガマンさん:こうやってバタバタとタオルを仰げば、テント上部にたまった暖かい空気がまざって、安定した温度になるんですよ。

編集部:いや〜、この蒸気おいしいなぁ。しかもどんどん汗が出てくる。ちなみにこれって何分くらい入るものなんでしょう。

オガマンさん:目安はロウリュ10分、外気浴5分の3〜4セット。合間に川で水を浴びるのもありですね。

熱気と香りを享受しながら、ひたすら汗をかくのを待つ。
スパイスの効果もあって、2分もするとジワジワっと汗が吹き出てきた。

ロウリュ→外気欲の繰り返し。

身体が温まったら外気浴でチル。自律神経のうち交感神経は体を温めることで、副交感神経は体を冷やすことで活発に。サウナの後の外気浴や水風呂は、これらのバランスを保つのに効果があるそうです。

余談ながら、このあとは輪島市でカレーの取材。まさに前菜のような感じで、スパイシーな熱気を味わうことができました。

なんともいえない爽快感に包まれた、大自然の中での外気浴。ととのう瞬間。
近くを流れる天然の川が水風呂に。副交感神経もキャッキャと喜んでいる。
サウナ上がりはビールではなくプリンでキメる。能登の卵と牛乳、珠洲のはちみつを使った滑らかな味わい。

料金は1時間1,500円(川沿いプランは3,000円)。これだけ快適に過ごせてこの値段なら、コスパはかなり高い方でしょう。シャワー(タオル付き500円)もあるので、手ぶらでもOK。サウナ上がりに「ズック」で一杯やって「こぶし」で一泊、なんていうのもありです。

「これから先も、若い人たちが宮地に集まるようなアクティビティに挑戦していきたい」と、オガマンさん。今後は「ズック」のとなりに雑貨屋をオープンする予定だそうで。宮地というローカルな町にサウナのごとく熱気が渦巻く、なんて展開に期待しましょう!

人生に疲れたときは、サウナが一番。

ズックのサウナ
石川県鳳珠郡能登町宮地1-2-1
@zuck_sauna

営業時間/10:00~12:00、13:00~15:00、16:00~18:00
定休日/不定休
駐車場/あり
※こちらの情報は取材時点のものです。

(取材・文/ヨシヲカダイスケ、撮影/林 賢一郎)

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