空前の大ヒット作!「鬼滅の刃」がもっと楽しくなる知っておきたい日本文化

大人気アニメ「鬼滅の刃」には、日本の文化を学べる様々なアイテムが登場します。そこで今回は、鬼滅の刃が更に楽しくなる日本文化の豆知識をご紹介いたします。

鬼滅の刃とは

「鬼滅の刃」とは、大正時代の日本を舞台に家族を鬼に惨殺された主人公の竈門炭治郎(かまど たんじろう)が、鬼と化してしまった妹・禰豆子(ねずこ)を人間に戻す方法を探すために仲間と共に鬼と戦いながら成長していく物語。
原作は、漫画雑誌「週刊少年ジャンプ」で連載され、テレビアニメ化をきっかけに大ブームとなりました。
現在までの単行本累計発行部数はなんと1億部を突破するほどの人気作品です。
2020年10月16日からは劇場版「鬼滅の刃 無限列車編」が公開され、日本では再び鬼滅の刃が注目されています。

鬼滅の刃の時代設定「大正時代」はどんな時代?

舞台となる大正時代は、日本の歴史上最も短い時代区分で、1912年から1926年の約15年間です。この時代は、民主主義の発展を目指す様々な運動「大正デモクラシー」の発生や第一次世界大戦の勃発、関東大震災の発生など、日本の近代史を語る上で重要な出来事が次々と起こった激動の時代でした。

一方、文化・芸術面では民衆や女性の地位向上に伴い、都市部を中心に洗練された大衆文化が花開きます。西洋文化の影響を受け、日本人の洋装が一般化したのもこの時代。袴に編み上げブーツや学ランに羽織りなど和洋折衷のスタイルも流行しましたが、洋服は地方の労働者階級には浸透せず、和服が一般的でした。
鬼滅の刃のキャラクターたちは当時の最先端の格好をしていたんですね!

また、1話目に炭治郎が家の庭に穴を掘り、家族を埋葬するシーンがありますが、大正時代初期の土葬率は約65%。この時代は、ちょうど土葬から火葬へと移行する過渡期にあたります。

鬼って何?

日本の昔話やことわざなどに頻繁に登場します。「鬼」という言葉は、「隠(おぬ:姿の見えないもの、この世ならざるもの)」という言葉が転化したもの。日本では人に害をなすもの、目に見えない超自然的な存在を指し、鬼滅の刃では実際に人間を喰い殺す恐ろしい存在として描かれています。

アニメの「水の呼吸」はまるで浮世絵?神楽とは?

炭治郎や富岡義勇が使う「水の呼吸」。流れる水のように変幻自在に剣筋を変え、あらゆる戦闘に対応できる剣技で、テレビアニメでは、葛飾北斎の浮世絵の波が動き出したかのように表現されています。アニメならではのダイナミックな動きとその美しさに多くのファンが目を奪われました。

炭治郎が操るもう一つの技が、「ヒノカミ神楽」。使い手の身体能力を大幅にアップさせることができる特別な呼吸法です。
本来、「神楽」とは神様の拠り所である神座(かみくら)に神様をお招きし、舞を舞ったり音楽を奏でたりして神様をおもてなしする行事です。現在でも神社の祭礼などで奉納されているので、神社を訪れる際は、ぜひチェックしてみてくださいね。

鬼滅の刃に出てくる日本ならではのアイテム

・和柄

鬼滅の刃のキャラクターたちが羽織っている羽織には様々な文様がデザインされていますが、これらは和柄と呼ばれる日本の伝統文様で、平安時代頃から作られたと言われています。着物の柄や工芸品などに使われてきましたが、それぞれ開運招福や五穀豊穣、魔除などの意味が込められているんですよ。

様々な模様をあしらった着物姿の女性が描かれた浮世絵

炭治郎の羽織:市松模様
柄が途切れることなく続いていくことから、永遠や発展、繁栄の意味がこめられた縁起の良い柄。邪気や疫病を祓う意味があるとも言われています。

禰豆子の着物:麻の葉柄
麻がすくすくとまっすぐ伸びる草であることから、昔から健やかな成長を祈願し、赤ちゃんの産着や子供の着物などに使われていました。

我妻善逸(ぜんいつ)の羽織:うろこ文様
同じ大きさの三角形が整然と並ぶこの文様は、世界中で古くから見られる模様です。日本では蛇の鱗がイメージされ、脱皮の様子から再生・厄除けの意味が込められています。

作中には他にも様々な文様が出てきます。

・毬・蹴鞠(けまり)

炭治郎の敵である鬼の一人・朱紗丸(すさまる)が武器として使っている毬は、日本に古くからある遊具の一つ。作中では朱紗丸の技として蹴鞠も登場しました。実際の蹴鞠は、平安時代に貴族のスポーツとして流行し、鹿皮製の鞠を一定の高さで蹴り続け、その回数を競う競技で、現在でもいくつかの神社では蹴鞠行事を行っています。

・お面

作中にはお面をつけてるキャラクターが沢山登場します。各キャラがつけているお面は一体どんなものでしょうか?
鱗滝 左近次(うろこだき さこんじ):天狗
真っ赤な顔に長い鼻を持つ天狗は古くから日本に伝わる伝説上の生き物。天狗は神様と同一視されたり、妖怪として恐れられたり、日本各地に様々な伝説が残っています。

鋼鐵塚 蛍(はがねづか ほたる):ひょっとこ
口をすぼめてひょうきんな顔をしたひょっとこ。その名の語源は、かまどの火を竹筒で吹く火男(ひおとこ)がなまったものと言われています。

錆兎(さびと):狐
古来より、狐は田畑をネズミから守ってくれる神様としてあがめられていました。時の流れとともに神様の使いと考えられるようになり、狐面は祭りの儀式で使われるようになったり、縁起物として売られるようになりました。

日本には仮面を付けることによって、そこに神が宿り(お面の人格に成り代わる)、という思考があり、祭りの際に神の役を務めるものは仮面をつけるという風習がありました。
その後、面をつける=別人格になると解釈されるようになり、能や伎楽(ぎがく:日本の伝統演劇)などの舞台で使用されるようになったんですよ。

・家紋

作中には、炭次郎が所属する鬼殺隊を応援する藤の家紋の家が登場します。
日本には、世界でも珍しい「家紋文化」があり、自らの家系、血統、家柄・地位を表すために用いられてきました。
日本の家紋はおよそ6,000種類もあると言われていますが、中でも藤の家紋はとてもポピュラーなもの。
本来は、日本の公家を代表する藤原氏および全国に散らばった藤原一族の末裔が使用する家紋で、様々なバリエーションがあります。

藤の家紋の一種「下り藤」

いかがでしたか?鬼滅の刃には日本の文化を知るきっかけとなるアイテムがまだまだ沢山あります。皆さんもぜひ作中に息づく日本文化を探してみてくださいね。

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