王者・寺地拳四朗 恒例の“魔除け儀式”にJBCから見送り要請届いていた

拳四朗に切火の儀式を行う浅井慶信さん(中央)の様子(福田直樹氏提供)

ボクシングWBC世界ライトフライ級タイトルマッチ(24日、エディオンアリーナ大阪)を控える王者・寺地拳四朗(29=BMB)が意外な後方支援を受けている。

23日には同級1位・久田哲也(36=ハラダ)とのV8戦の前日計量に臨み、48・6キロで一発パス。これで2019年12月以来、1年4か月ぶりの試合へ態勢は整った。そんな王者をちょっと変わった形で応援し続けるのは「日蓮宗本山・本興寺」(横浜市)の副住職・浅井慶信さん(61)。毎試合、リングイン前の寺地に「切火(きりび)」と呼ばれる儀式で送り出している。切り火とは火打ち石を打って火花を起こすことにより、清めや厄除け、武運を祈祷するものだ。

もともとは陣営の関係者との縁で応援していたが「(切火を)始めたのは日本タイトルマッチ(2015年12月)から。関係者の方から『人と違うような形の応援をやりたい』とお話をいただき、それなら私もお坊さんという立場だったので、切火で魔を払おうかということになった」。

以降はこの儀式で無敗の王者の快進撃を支えており、浅井副住職は「拳四朗選手は入場の時はニコニコしながら来るんですが、切火で顔がキリッとなり、戦闘態勢に入る」と効果を実感する。

しかし今回は新型コロナウイルス禍で、日本ボクシングコミッション(JBC)から見送ってほしいとの要望があった。

同副住職は「当初は許可が出ていたんで、マスクやフェースガードなど万全の対策をしてやるつもりだったが…。拳四朗選手も熱望しているのに残念です」。1年4か月ぶりの切火ができず肩を落としているが、リングサイドから勝利のために〝念〟を送り続けるつもりだ。

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