最終SSで再逆転! 手負いのオジエが0.6秒差でクロアチアを制し今季2勝目/WRC第3戦

 2月25日、WRC世界ラリー選手権第3戦クロアチアはデイ3のSS17~20が行われ、7冠王者セバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC)が総合優勝を飾った。

 22日(木)のシェイクダウンで開幕し、23日(金)から競技が行われているWRC初開催の『クロアチア・ラリー』。今季初のフルターマック(舗装路)ラリーとして行われている今大会では、初日にヒュンダイのティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)がラリーをリードする。しかし、翌24日(土)はトヨタ勢が強さをみせ、王者オジエとエルフィン・エバンス(トヨタ・ヤリスWRC)がトップ2を占める結果となった。

 上位2台の差はわずか6.9秒、総合3番手に後退したヌービルまで10.4秒という接近戦で迎えたラリー最終日は、サービスパークの北側に設定された4本のSSをサービスを挟むことなく走行するスケジュール。そのなかには今大会最長、全長25.2kmのロングステージであるSS17/SS19も含まれた。

 そのSS17の開始前に“事件”が起こった。サービスパークからSS17のスタート地点に向かっていたオジエのトヨタ・ヤリスWRCがリエゾン(移動区間)で一般車両と接触し、車両右サイドに大きなダメージを負ったのだ。

 しかしWRC7冠王者はそれを感じさせない走りを披露する。今朝最初のロングステージを制したのはエバンスだったが、オジエはチームメイトから2.7秒差のSS3番手で終え総合首位の座を守ってみせる。

 続くSS18でもステージ3番手となったオジエ。だが、やはり車両損傷の影響があるのか、ふたたびエバンスがステージウインを飾ったこのSSでは7秒の遅れをとり総合2番手に後退した。

 午後に行われたSS17の再走ステージとなるSS19では、首位エバンスと8.4秒差の総合3番手につけるヌービルが今大会6度目のベストタイムを記録。その差を8秒に縮め、2番手のオジエとは4.1秒差とした。

 三つ巴のまま迎えた最終SS20。まずはヌービルがタイムを出しにかかるが若干のオーバーシュートがあり、本人曰く2~3秒ほどタイムを失い暫定2番手タイムに甘んじる。一方のオジエは事故の影響を微塵も感じさせない力走で、最終パワーステージの暫定トップタイムを記録し、この時点で総合2位以上の順位を確定させた。

 最後のアタッカーとなったエバンスの走りに注目が集まるなか、ウェールズ人のスプリットタイムはオジエに対してプラス表示。その差が3.9秒以内であれば逃げ切り優勝となるが、プレッシャーからかエバンスは終盤のコーナーでわずかにラインを膨らませタイムを失ってしまう。

 このミスが致命傷となり最終的にはオジエから4.5秒遅れでフィニッシュ。その結果、オジエが最終パワーステージでチームメイトを逆転し、わずか0.6秒差という僅差での逆転優勝を飾った。オジエは開幕戦モンテカルロ以来、2戦ぶりの優勝、トヨタにとってもモンテ以来のワン・ツー・フィニッシュとなった。

 今週末、いまいちスピードに乗り来れなかったオット・タナク(ヒュンダイi20クーペWRC)は初日から順位変わらず総合4位でラリーを完走した。このクロアチアでWRカーデビューを飾ったエイドリアン・フルモー(フォード・フィエスタWRC)が堂々の5位フィニッシュを果たしている。

 総合6位は前日にふたつのステージを制した勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC)で、総合7位にはガス・グリーンスミス(フォード・フィエスタWRC)、ヒュンダイの3台目をドライブするクレイグ・ブリーン(ヒュンダイi20クーペWRC)が総合8位に入っている。

 WRCの次戦第4戦は5月20~23日に行われる『ラリー・ポルトガル』だ。

エルフィン・エバンス(トヨタ・ヤリスWRC) 2021年WRC第3戦クロアチア
ティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC) 2021年WRC第3戦クロアチア
ティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC) 2021年WRC第3戦クロアチア
オット・タナク(ヒュンダイi20クーペWRC) 2021年WRC第3戦クロアチア
エイドリアン・フルモー(フォード・フィエスタWRC) 2021年WRC第3戦クロアチア
勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC) 2021年WRC第3戦クロアチア
ガス・グリーンスミス(フォード・フィエスタWRC) 2021年WRC第3戦クロアチア
クレイグ・ブリーン(ヒュンダイi20クーペWRC) 2021年WRC第3戦クロアチア

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