膨らむ財政支出「コロナ増税」? 将来世代にツケではなく豊かさを

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」。3月22日(月)放送の「オピニオンCROSS neo」では、公認会計士で税理士の森井じゅんさんが将来世代への“ツケ”について述べました。

◆コロナ対策で国債発行額が100兆円を突破…

新型コロナウイルス対策に伴い、政府の財政支出が異例の規模で膨らみ続けています。財源の大半は国債で賄っており、2020年度の新規国債発行額は当初予算分を含め100兆円の大台を突破。国会議員の間でも「コロナ増税」があるのではという懸念が広がっています。

森井さんは、これまでも同コーナーにて「財源と税収は違う。税は財源ではない」、「国債を発行し政府が支出をする、それはみんなの資産になる」と明言してきました。一方で税金とは何かといえば、「政府支出の反対。世の中からお金を集め、1回消してしまう効果がある」と言います。そして、「財政支出による供給と税金による回収は、紐付けることができない。だからコロナのための増税はありえない」と主張。

そうなると財政破綻やハイパーインフレの可能性が示唆されますが、前者は「日本など通貨発行券のある国の自国建ての国債のデフォルトは考えられないと財務省も言っている」と森井さん。また、後者も「それはお金の量ではなく、生産力や供給力の毀損。例えば戦争や内乱など特殊な事情によって供給力が落ちたとき」と異議を唱え、「将来世代へのツケは不当な税金だと言われているが、本当のツケとは何か考えてほしい」と訴えます。

◆本当の将来世代への"ツケ”とは?

本当の将来世代へのツケ、それは「今、日本で起きている需要不足による供給能力の低下」と言います。そして、雇用がなくなり、賃金も低下、みんなが使えるお金が少なくなり「需要のためのお金が圧倒的に足りない」とも。

その原因は「人件費のペナルティである消費税や社会保険料」であり、「公共資産の私物化・切り売り、中抜き」と森井さん。つまり、人件費のペナルティや人を雇うリスクが高すぎて、中抜きが一番美味しい仕事になってしまっている現状があり、「税の仕組みや社会構造として政策的にそうなってしまった。だから、そこを直していかなければいけない」と力説。財政支出が不十分だったことも問題ですが、この一連の「間違った貨幣観」を危険視し、「間違った貨幣観による間違った政策、これこそが将来世代のツケ」と述べます。

総じて森井さんは「将来世代にツケではなく、豊かさを贈りたい」と言い、そのためには「経済の底上げ、国内需要・供給力を増やすこと」と提言。昨年のマスク不足も需要と供給のバランスが崩れたが故に起こったと森井さんは解説し、「それが食糧で起こったらパニックになる」と危惧。そんな状況を防ぐためにも消費税廃止、社会保険料減免、構造改革をはじめ今まで失敗してきたことからの転換、さらには「人、技術、災害対策を含むインフラへの投資、安全保障」と強調。

そして最後に「今を豊かにすることが将来を豊かにすること。将来へのツケというのは私たちの今の間違った政策」と声高に訴え、「私たちが豊かになることが将来の私たちを豊かにする。今、我慢することではない」と改めて主張していました。

レイ法律事務所 代表弁護士の佐藤大和さんも「"人”にもっと力を入れるべき」と声を大にします。自身はフリーランスの方の弁護をする機会が多いものの、「個人の権利を守るための法律がない」と嘆きます。「個人がそれぞれ鍛え、成長しなければ国の将来はない。まさしく人に対する投資をもっと国は積極的にやっていくべき」と共感していました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00(※番組終了)
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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