被爆資料 デジタル化へ 実相を国内外に伝承 追悼祈念館と長大レクナ連携

レクナと連携して、被爆資料の調査・分析やデジタル教材化などの新事業を始める国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館=長崎市

 国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館(長崎市平野町)が、長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA=レクナ)と連携して、被爆体験記など被爆資料の調査や分析を進め、デジタル教材にして国内外に提供する新事業を始めることが25日、分かった。レクナの国際的なネットワークや、軍縮教育のノウハウなどを生かして、被爆の実相を国内外に広く伝承する狙い。被爆体験の発信で専門機関と連携するのは初めて。
 レクナは、最新の核兵器情報の発信や、安全保障の政策提言などに取り組む被爆地長崎のシンクタンク。両者は既に業務委託契約を結んでいる。
 被爆から75年が経過し、被爆者の高齢化も進む。祈念館では、被爆資料の収集や保存を続けてきたが、資料の分析はされていなかった。レクナの知見などを生かし、保存している資料を追加調査し、分析と整理を進める。大学や民間団体などが所有する資料を調査することも検討している。
 被爆資料のデジタル化は、特に国内外の若い世代に被爆体験を知ってもらう狙いもある。体験記の中には、祈念館に来館しなければ閲覧できないものもあり、新型コロナウイルスの影響で訪日できない外国人なども、体験記を外国で閲覧できるようにする。
 デジタル化した体験記などは、国内外の大学に設けられた戦争や平和に関する「広島・長崎講座」や、各大学の平和に関する講座に教材として提供する方針。国内外の大学で利用が見込まれる。

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