ウィズコロナで活用増 長崎県の「事業拡充」支援 宴会場改修や通販サイト開設など

補助金を活用し、別館宴会場をイタリアンレストランに改修した北村さん夫妻=西海市、nodo

 起業や移住などによる長崎県の「地域産業雇用創出チャレンジ支援事業」の昨年度実績がまとまった。四つの支援メニューのうち、最大400万円を補助する「事業拡充」は10市町の計21事業者が活用。新型コロナウイルス禍を乗り切るために利用した事例もみられ、前年度から7事業者増えた。
 大村湾に面した静かな半島に位置する「いけす料理持木荘(もちぎそう)」(西海市西彼町)。3代目の北村泰裕さん(31)のUターンを機に築40年の別館宴会場を改修し、1月にイタリアンレストラン「nodo」をオープンした。改修費には事業拡充支援を活用。本場のまき窯で焼き上げるピザや窓の外に広がる眺望が好評だ。
 感染拡大に伴い宴会需要が減る中、改修後は家族連れや少人数の来店が増加した。新たに始めたテークアウトも好調で、今後は通信販売やオードブル、レストランウエディングにも力を入れていく考え。北村さんは「コロナ禍の中でも売り上げを安定させたい」と話す。
 県地域づくり推進課によると、事業拡充支援では、新たな生活様式を意識し、キャンプ場にコワーキングスペースを整備したり、通販サイトを開設したりする事例も。計25人の雇用を生み出している。
 他の支援メニューは「創業」「移住」「事業承継」。財源は国の地方創生交付金などを充てている。
 創業支援は、地域の課題解決を条件に新規開業する事業者に対し最大200万円を補助。飲食や美容など7市町の計10事業者(前年度比4事業者減)が開業した。
 移住支援は、東京在住者が県運営の就職サイト「Nなび」に求人を出している県内企業へ就職したり、県内で創業したりした場合、1世帯当たり100万円、単身なら60万円を給付。5市町に9世帯20人(同4世帯増)が移り住んだ。事業承継支援は3事業者(同2事業者増)だった。
 県は本年度、応募数が少なかった事業承継を除く、3メニューを継続。総額2億1800万円の予算を計上している。目標は創業支援30事業者、事業拡充支援50事業者、移住支援65事業者。同課は「コロナ禍の2年目を迎え『ウィズコロナ』の動きも増えてきている。リモートワークやテークアウトなど新たな試みを支援したい」としている。問い合わせは同課(電095.895.2242)。

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