観光地「心折れそう」 長崎市有施設休館に悲痛な声 新型コロナ第4波で

観光施設の休館に伴い、客足がほとんどなくなった土産店=28日午後1時23分、長崎市南山手町の「もみの木コア」

 新型コロナウイルス感染「第4波」に伴い、長崎市有の文化観光施設が28日から休館になった。大型連休を含む5月11日までの予定で、緊急事態宣言が出された昨年の連休と同様、観光地からにぎわいが消失。グラバー園や大浦天主堂に近い土産店からは「もう心が折れそう」と悲痛な声が漏れる。
 休館初日の昼下がり。石だたみの坂に人影はまばらだった。今年は長崎開港450周年で、同園はコロナ禍の中でも4、5月に10万人の入場者を見込んでいたが、暗転した。それでも周辺の土産店の多くが「様子見のため」営業を続けた。
 「1年で1番売れる2週間に、また人の流れを止められるとは」。「長崎オルゴール館」の森一久代表(56)はため息をつく。昨春は約2カ月、店を閉めた。秋には売り上げが前年並みに回復。第3波で客足が途絶えたものの3月には戻り、連休を見越して商品を仕入れたばかりだ。「飲食店は協力金が出るのに、観光関連には何の補償もないのは納得できない」。「もみの木コア」の川向真弓店長も「この1年“忍”の一字で頑張ってきたけれど、もう心が折れそう」と肩を落とす。
 消費期限がある在庫も悩みの種だ。「まえだ」は他店にも供給する看板商品の菓子「長崎カステラぷりん」を今年は個数を絞って準備した。ところが施設の休館で、想定以上に受注が減った。山下祐之介専務(45)は「安売りに回さないといけなくなるかも」と懸念する。
 長崎バス観光(長崎市)はグラバー園や原爆資料館などを巡る定期観光バス(1日2便)を運行できなくなった。コロナ禍での運休は3度目。担当者は「来月11日以降に再開できるのかどうか。先が見えず非常に不安」と話した。


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