<南風>沖縄で飲む缶コーヒー

 わかるかな~。沖縄に行くとき羽田空港で缶コーヒーのジョージアを買うんだ。当たり前だけど120円の味なんだ。でも那覇空港に降り立って飲むジョージアは千円の味に跳ね上がるよ。さらに車を飛ばし、田舎の東風平に着いてジョージアを飲むと3千円のうまさに跳ね上がるんだ。うれしくて気分が高揚しているからかな。わからないだろうなあ、ずっと沖縄に住んでいるウチナーンチュには(笑い)。

 サトウキビ畑と住宅街が混在した細道を散歩しながら飲むジョージアは最高の味。またね、東風平の南風が私の顔と腕の肌に心地よく刺さるんだ。大人になって初めての沖縄で飛行機の窓から沖縄本島が見えたとき、私の体中の血が逆流してしびれた感覚だったよ。沖縄に育ったウチナーンチュは沖縄にあるものは小さいときから接してるから何もかもが当たり前。アンダギーも豚料理もガジュマルも…、だからこの感覚はわからないだろうね。

 毎年、田舎に着くと父と母の両家の親戚を訪ね、一緒に門中のお墓参りをするんだ。母方のお墓参りをしたときのこと。座ってお線香を上げて、立ち上がったら頭に木の枝が当たり、びっくり。従姉(いとこ)が「進さん、シークヮーサーの木だよ。果実がたくさんなってるでしょ、引っこ抜いて食べたらおいしいよ」と。一口ほおばったら、「うまい」、感激、これが沖縄だよな。沖縄のウチナーンチュにわかってほしいのは自分たちの周りにある、あらゆるものの魅力を再認識してほしいね。

 私の趣味は沖縄。毎朝シークヮーサーを飲み、沖縄の新聞を読み、お酒はオリオンビールと泡盛、居酒屋の大半は沖縄料理屋、東京で会う沖縄県人は皆、親戚に近い感覚。つまり沖縄の匂いが大好き。沖縄で飲むジョージアコーヒー万歳! 沖縄の南風万歳!

(新垣進、関東沖縄経営者協会会長)

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