“ファンのためにコロナという言葉をあえて使わない”ミュージカル『刀剣乱舞』 展開店舗特集 第一弾

4月21日(水)、ミュージカル『刀剣乱舞』 ~幕末天狼傳~ のBlu-ray・DVDの販売が開始された。同作は2016年に初演し、人気を博した公演の再演となる。同作以外にも、ミュージカル『刀剣乱舞』シリーズの新譜発売が今後しばらく続くということで、毎月、販売店がどのような展開をしているのか、売り場のレイアウトを行った担当者に話を聞く。第1回目はタワーレコード渋谷店(以下、タワレコ)の池田さんだ。

ミュージカル『刀剣乱舞』はゲームやアニメなどで幅広く展開しているメディアミックス作品『刀剣乱舞』シリーズのミュージカル版で、いわゆるマンガやアニメ、ゲームなどを原作・原案とした舞台芸術「2.5次元ミュージカル」というジャンルの作品となる。どちらかというと“3次元”のムーブメント注目をされがちなのが渋谷だが、同地でも着実にこのジャンルの注目度は上がっている。

池田さんは「テレビでの露出そのものが増えているので、『刀剣乱舞』というコンテンツを推している方はもちろん、俳優さんが好きで、そこからミュージカル『刀剣乱舞』や2.5次元の魅力にハマった方も多いみたいですね。」と話す。渋谷でも2.5次元の作品を扱うショップは存在するが、音楽系はタワレコだから買う!というお客さんも多いようで「今回のミュージカル『刀剣乱舞』~幕末天狼傳~Blu-ray・DVDも反響は良いです。『刀剣乱舞』関係は新作が出ると必ず購入される方が多くいらっしゃるので、品切れてしまうことも多いです。」と池田さん。

今回、コーナーを設ける際に苦労したのが、どの程度情報を書けばいいのかということだったそう。というのも、「ミュージカル『刀剣乱舞』 ~幕末天狼傳~」は再演ということで、既に詳細を知っていて購入するお客さんが圧倒的に多いからだ。

「ポップにコメントを書きながら、『こういう特典が入っている』と書いても、たぶん、全ての公演を観ている方には、『ああ、それね』ってなってしまうと思いました。ですが、俳優さん目当ての新規の方に分かりにくくても困るので、通常とは違うアピールの大変さがありましたね。」

そのため、文字による情報は最小限、モニターから流れる本編映像によるPRに重点を置いたそうだ。また、コロナ禍に関連した話題を紹介するかどうかも池田さんが悩んだ点だったようだ。

「今回の公演は、新型コロナウイルスの影響があるときに行われたので、公演日が延期になったこともありました。そこに触れていいのかとても悩みましたが、最終的にはコロナというネガティブな言葉をファンの方も見たくないかなと思い、そこには触れないようにしようと決めました。」

ショップ店員にとって特設コーナー設置は、自身の企画力を出せる場所でもあるが、それ以上にお客さんの気持ちに寄り添うことが大事なようだ。

なお、ポップ等での説明はしていないが、モニター放映中の映像ではコロナ禍での稽古風景の映像も流れている。ネガティブなものではなく、俳優たちの頑張る姿を通して、コロナ禍の興行をどう乗り切ったのか、購入する前にチェック出来る状況も注目いただきたい。(斎藤雅道)

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