V長崎 第10節を終えて 気になる選手起用 腰の軽いベンチワーク期待

開幕戦で途中出場したV長崎の都倉。今季加入したが、出場機会は限られている=諫早市、トランスコスモススタジアム長崎

 明治安田J2リーグは第10節を消化し、V・ファーレン長崎は4勝2分け4敗(勝ち点14)の9位に甘んじている。不振の一因として考えられるのが交代策。対戦チームが5人の交代枠をフル活用しているのに対して、V長崎がカードを使い切ったのは第4節琉球戦の1試合しかない。他がうらやむような選手層の厚さを誇るだけに、改善の余地が残されている。
 コロナ禍の特例で、交代枠は昨季と同様に通常の3人から5人に増えている。昨季のV長崎は交代策を有効活用し、カードを余らせたのはシーズンを通じて8試合しかなかった。それが今季はすでに9試合。第1~3節は動きづらい展開だったと見ることもできるが、点差が広がった試合などでもフルに使っていない。
 例えば第5節大宮戦。前半を0-2で折り返してハーフタイムに2人交代したところまでは良かったが、以降は2回の失点後に1人ずつを代えただけだった。この傾向は第8節町田戦(0-3)も同じ。負け試合を次に生かすため、あるいは出場機会の少ない選手にチャンスとモチベーションを与える意味でも「使い切る」姿勢がほしかった。
 1点が欲しい時のパワープレー要員として今季獲得したFW都倉は、現在までの出場時間が153分にとどまる。ベンチ入りしても出場しないケースが多い。ベテランのFW玉田もわずか73分の出場しかなく、今季4試合で先発したFWエジガルジュニオの4ゴールすべてが後半に偏っている点も気になる。
 一方で、江川のセンターバック抜てき、公式戦から長く離れていたGK富澤の起用、逆転勝利した第9節山形戦の終盤で見せた3バックへのシステム変更など、直近の試合は好采配も見られるようになった。残り32試合。もう一歩踏み込んで「腰の軽いベンチワーク」をできるかに、巻き返しのヒントが隠れているのかもしれない。

 


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