2度も涙を流させられた因縁の対決「負けて僕らは強くなった」 具志川商業、九州決勝へ

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具商―福岡大大濠 5回表具商無死二塁、狩俣伊吹の左前打で二走・大城勢武太が生還する=別大興産スタジアム(朝日新聞社提供)

 三度目の正直でライバルを倒した。28日に大分市の別大興産スタジアムで行われた高校野球の春季九州大会(第148回九州大会)の準決勝で、具志川商業は福岡大大濠を8-0の七回コールドで下し、初の決勝進出を決めた。秋季九州、選抜大会で2連敗した福岡大大濠を投打で圧倒し、九州王者に王手をかけた。具商は30日午前10時から、九州国際大付(福岡)と決勝を戦う。

■猛攻で奪った8点

 具商は一回表1死二、三塁、4番狩俣伊吹の右前適時打で2点を先制。二回表無死一塁では1番新川俊介がレフトへ2ランを放ち、3番大城勢武太も適時打で続いて5-0とリードした。五回に1点、七回に2点と計12安打の猛攻で8点を奪った。

 27日の準々決勝でデビューした山田極登が先発し、アンダースローから緩急をつけた投球で福岡大大濠を七回2安打に封じ込めた。

 興南は0-2の四回表、5番宮城琉人、6番山川宗慶の連続安打で1点を返した。だが得点圏に走者を進めてもあと1本が出ず、九国台付に1-2で競り負けた。

 【評】具志川商が12安打、8得点の猛攻で七回コールドゲーム勝ち。一回に狩俣の2点適時打で先制。二回は新川の2ランに大城の適時二塁打、五回にも狩俣の適時打で1点、七回は知名の2点打で突き放した。右下手投げの山田は変化球を軸に組み立て完封した。

 福岡大大濠は2安打に終わり、松尾尚、森本、古川と継投したが相手打線を止められなかった。

■打線快調 12安打8得点

 2度も涙を流させられた因縁の福岡大大濠に対し、具商打線が闘志前面にぶつかった。喜舎場正太監督が「相手の嫌がるだろう打順を組んだ」と語った攻撃的布陣は、初回から火が付いた。

 初の1番に入った長打力のある新川俊介が左越え二塁打で出塁すると、四球を挟んで4番の狩俣伊吹。「最高の舞台でリベンジできる」と気持ちを乗せたスイングで右翼線に運び、2点を先制した。二回は無死一塁で再び新川。3球目のカーブを狙い打ち、「真芯すぎて手応えがなかった」一打が場外に飛び出す特大2ランとなった。4-0とし、流れを大きく引き寄せた。

 試合前、喜舎場監督は「大濠のことは君たちの方がよく知っているだろ」とあえて細かい指示を省いた。選手同士で投打のポイントを話し合い、攻略の最善策を共有していたからだ。

 6-0の七回表1死満塁、1点が入ればコールド勝ちが見える場面で今大会無安打の8番知名椋平が打席に立った。初球のスライダーはファウル。「変化球の後は直球パターン」の読みを当て、チーム12安打目が左前2点適時打となって勝利を決定づけた。

 秋から快進撃を続ける具商が、九州初制覇まであと1勝。4打数3安打3打点の狩俣は「大濠に負けて僕らは強くなった。雪辱の後はチーム初の優勝タイトルを取る」と必勝を期した。

■山田完投 強力打線を手玉

 春の選抜大会では最後に登録選手から外れて甲子園のベンチに入れず、涙を飲んだアンダースローの山田極登。前日の準々決勝で公式戦デビューを果たしたばかりだったがこの日は先発のマウンドに上がり、強力打線を手玉に取った。

 120キロ台の直球やカーブ、スライダーをコースに投げ分け、選抜準優勝の明豊を準々決勝で破った福岡大大濠打線を五回までノーヒットに抑えた。緩急に加え、楽天の牧田和久の映像で学んだクイックモーションを駆使。タイミングを外し、三回裏には2三振も奪ってみせた。

 8-0の七回裏に2死一、二塁とされたが三ゴロに仕留め、中体連以来の完投勝利を飾った。「想像していなかった出来。強力打線を完封できて自信になった」と喜びをかみしめた。

 上手投げで140キロ中盤の直球を持つ新川俊介やサイドスローの田崎陽誠など多彩な投手陣に競り勝つため、昨年10月、下手投げに転向した。「最近はフォームもしっくりきている。投手陣一人一人が役割を果たし、優勝したい」と、総力戦で決勝に臨む。

福岡大大濠打線を零封した具商先発の山田極登(朝日新聞社提供)