再起目指す元実業団ランナー、農業でも快走 ケニア出身ジュグナさん

山森農園でパプリカの接ぎ木作業をこなすジュグナさん=三浦市南下浦町金田

 実業団駅伝でも活躍したケニア人の陸上選手デビット・ジュグナさん(31)が、神奈川県三浦市内の農園で農作業に励んでいる。貴重な戦力として頼られながら、再起を目指してトレーニングを重ね、農園の仲間たちと充実した日々を送っている。

 ジュグナさんはケニアにいた時、ヤクルト陸上部の監督にスカウトされ、2012年に来日した。1万メートル(27分45秒)などでチーム歴代3位の記録を持ち、17年から3年連続で全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)に出場した。

 19年4月にチームを離れた後、人材派遣会社に所属して群馬県内の農家で働いた。農閑期になった昨年11月からは三浦市南下浦町金田の「元気もりもり山森農園」に移り、さまざまな農作業をこなす。言葉の壁はあるが、「仕事は迅速で丁寧。慣れるのも早い」と同農園の山森壯太代表(37)は全幅の信頼を置く。

 仕事の傍ら、今もランニングの練習は怠らない。「もう一度実業団の陸上部に所属してマラソンを走りたい」と1日20キロを走破し、体形は現役時代と変わらない。休みの日にはハーフマラソンのペースメーカーを務めたり、知人の陸上教室を手伝ったりすることもある。

 山森さんは「いずれは市民マラソン大会に出場し、『山森農園』のゼッケンを着て快走してほしい」と期待する。

 祖国には、妻(25)と長男(7)、長女(5)がいる。いずれは日本に呼んで、4人で暮らしたいと思っている。「マラソン選手を目指すにも限界がある。40歳を過ぎたら日本で農業で自立していきたい。そのためにも仕事を頑張りたい」とジュグナさんは張り切っている。

© 株式会社神奈川新聞社