巨人もう1人の助っ人スモークに好影響を与えた「テームズの悲劇」

松葉づえをついて神宮球場を訪れたテームズ

マイナスばかりでもなさそうだ。巨人の新助っ人エリック・テームズ外野手(34)はデビュー戦となった27日のヤクルト戦での右アキレス腱断裂により、今季絶望的となった。チームの長い歴史の中でも例を見ない悲劇だが、もう1人の助っ人ジャスティン・スモーク内野手(34)には好影響を与えたという。一体、どういうことか――。

先のヤクルト戦で2連勝した巨人は16勝9敗4分けの貯金7でカード2巡目を終えた。それでも27日のデビュー戦で右アキレス腱を断裂したテームズの悲劇の衝撃は収まってない。28日には松葉づえをついて神宮球場まであいさつに訪れたが、今季中の復帰は絶望的。テームズをハグで激励した原監督「いるメンバーで戦うしかない」と神妙な面持ちだった。

拙守でわずか5戦で見切られた2015年のフランシスコのようにヤル気がなかったり、成績の伴わない〝ダメ助っ人〟は数多くいたものの、デビュー戦での大ケガはレアケースだ。チーム関係者は「起こってしまった事故は致し方がない。これをプラスに変えることが肝心」と言う。メジャー96発、推定年俸1億2500万円の助っ人離脱のプラス面とは何なのか? 前出の関係者は「1つあるとすればスモークへの波及効果でしょう」と続けた。

二軍戦9試合で打率5割、4本塁打と無双状態だったテームズに対し、左足に死球を受けた影響から7試合の出場で打率3割3分3厘ながら0本塁打だったスモークは28日のヤクルト戦で来日初アーチをマーク。ここまでの2試合で8打数5安打、1本塁打、打率6割2分5厘の大当たり。指揮官も「対応力というかね、非常にありますね」と目を細めていた。

球団フロントの1人は「メジャーしか経験していないスモークがキャンプなしで、日本の野球に対応できるが心配だったけど本当に良かった。テームズの思いを受け止めた部分もあったのでは」と分析。2週間の隔離期間や二軍調整をともに過ごした同僚の無念さを好発進につなげたとの見立てだ。

さらに同条件で実戦に臨んだテームズの大ケガは、スモークに練習の大切さへの注意喚起につながるとの見方もある。新型コロナ禍の影響から来日が遅れ、自主トレを続けてきたのは両助っ人ともまったく同じ。スモーク自身も「いつ入国できるか分からず、やれるトレーニングを続けるしかなかった。(実際に)野球をやるってなった時にそれが正しいか分からなかったけど」と実戦不足に不安を感じていた。加えてテームズの悲劇を目の当たりにしたことで、スモークがシーズン中に行うトレーニングの質や量にも少なからず影響を与えるはずだ。

あまりに衝撃的だった〝テームズショック〟だが、2年6億2000万円とも言われる高年俸助っ人の状態維持につながるなら不幸中の幸い。巨人がアクシデントを9年ぶり日本一の糧とできるか注目だ。

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