西武若手にチャンスも辻監督が抱える“ジレンマ” 山川、メヒアら山賊打線の復活は

西武・山川穂高【写真:荒川祐史】

穴埋める若手悪戦苦闘「先発ローテーション投手を打つのは難しい」

左足を痛めて2軍で調整中の西武の主砲、山川穂高内野手。故障後初の実戦となるはずだった29日のイースタン・DeNA戦(平塚)は、「4番DH」でのスタメン出場が発表された後、雨天中止が決まった。故障者続出の山賊打線の“復旧”はいつになるのだろうか。

1軍はこの日、本拠地メットライフドームでロッテ戦に臨み2-5で敗れた。1回にいきなり4点を奪われ、その裏には相手先発の岩下から3安打1四球で2点を奪ったものの、後が続かず。2回以降はわずか1安打。7回からハーマン、唐川、益田のリレーの前に走者さえ出せなかった。

7番を打ったドラフト6位ルーキーのブランドン、8番の山田遥風、9番のドラフト4位・若林楽人はしめて8打数ノーヒット1四球。辻発彦監督は「ブランドンも山田も若林も、岩下とは初対戦に近い。先発ローテーション投手を打つには、ある程度感覚的なものがわからないと難しい」と脱帽した。経験の浅い選手を並べざるをえないのは、主力に故障者が多いからだ。

とりわけ主砲の山川の復帰が待ち遠しいところだが、辻監督は「下(2軍)でしっかりやれるという形になれば(1軍昇格を検討する)。走れて守れて打てて、とならないとダメでしょ。代打でいくわけじゃないから」と慎重な姿勢を示した。

来日8年目のメヒアについても「まだ体調が万全ではない」

3月30日の日本ハム戦で今季1号2ランを放ちダイヤモンドを1周する際に、左ハムストリングの肉離れを発症。それから約1か月が過ぎた。山川は昨年も8月9日の日本ハム戦で右足首を痛め、10月31日まで出場を続けたが、症状を悪化させた上、成績も下降の一途をたどった経緯があるだけに、周囲もより慎重になるのだろう。実戦復帰が雨で流れたことが、今後の1軍昇格プランにどう影響するか。

来日8年目のエルネスト・メヒア内野手は、コロナ禍で入国が今月3日にずれ込み、イースタンでは打率.235(17打数4安打)。28日のイースタン・DeNA戦では1号ソロを放ったが、辻監督はこちらも「まだ体調が万全ではない」と、30日の日本ハム戦(札幌ドーム)からの1軍合流を否定した。

開幕直後に下肢の張りを訴えた栗山巧外野手は、20日から戦列に戻り、29日には試合を決める1号ソロを放ってお立ち台に上がったが、一夜明けたこの日はスタメンを外れていた。プロ20年目の37歳だけに、適度に休養を与えながらの起用になる。死球を受けて左腓骨を骨折した外崎修汰内野手はの実戦復帰は、早くても7月中旬。腰痛で2軍調整中のレギュラー右翼手・木村文紀はいまだイースタン戦にも出場できていない。

明るい材料は、メヒアと同じく来日が遅れていたコーリー・スパンジェンバーグ内野手がいち早く23日から1軍に合流し、スタメン出場を続けていること。あとはリーグ最多の10盗塁をマークしている若林をはじめ、若手の奮闘でどこまで踏ん張れるか。主力がそろうはずの夏場へ向けて、首脳陣は一日千秋の思いだろう。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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