テロ対策未完成で40年超原発3基再稼働に同意

 施設の老朽化を考え、安全性を高めるために「運転期間は原則40年」とした稼働ルールを超え、安全性が確認されたとしてテロ対策施設の完成もないままで、関西電力美浜原発3号機、高浜原発1号機、2号機の3基の原発(いずれも福井県)「再稼働」について、福井県の杉本達治知事が「同意する」と28日表明した。

 安全性最優先で取り組むために定められた原則が政府の原発再稼働加速姿勢でなし崩しにされかねない状況だ。

 政府は「40年を超えて稼働する原発1か所あたりに最大25億円もの交付金を地元自治体に支払う」いわば、財政基盤の弱い自治体に老朽化原発の再稼働に金で同意させるような、原発事業者後押し姿勢に近い状況をつくっている。「設置から60年まで可能」とする例外規定が常態化しないよう、また原発から半径35キロ圏内のすべての自治体の同意を条件とする規定の創設など、国会での議論が必要だ。

 日本共産党の志位和夫委員長は「中性子線によって原子炉容器が経年劣化することは物理の法則で避けられない」とし、10年停止していた3基の原発再稼働への動きに対して「今も続く福島の大事故の教訓を忘れたか?」と怒りをツイッターで発信した。

 関西電力の森本孝代表執行役社長は「今後も原子力発電の安全性をたゆまず向上させていくとの強い意志と覚悟のもと、新規制基準施行後、全国で初めて、40年を超えて運転する美浜発電所3号機および高浜発電所1、2号機の再稼動に安全最優先で取り組むとともに、現在稼動中の高浜3、4号機および大飯3、4号 機も含め、安定・安全運転を積み重ねてまいります。 また全社一丸となって業務改善計画を着実に実施し、信頼回復に全力を 尽くしてまいります」とのコメントを発表した。コメント通りの実効性が求められている。

 関西電力は5月1日に「水素事業戦略室」を新設するほか、7月1日に洋上風力など再生可能エネルギー拡大へ「再生可能エネルギー事業本部」に水力事業本部を統合し、「再生可能エネルギー事業本部」として再編することも発表した。(編集担当:森高龍二)

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