掛布雅之氏がトクサンに明かす 甲子園を舞台に草野球大会をプロデュースした理由

DAZNオリジナルコンテンツ「野球トレンド研究所」に掛布雅之氏が登場【写真:編集部】

ミスタータイガースが現役草野球選手のトクサンに語る熱い想い

野球YouTubeチャンネル「トクサンTV」は、2016年8月のスタート以来、今や登録者数62万5000人を超える大人気チャンネルとして知られる。野球少年少女からプロ野球選手まで知らない人はいないメインパーソナリティのトクサンは、強豪・帝京高校で白球を追い、3年夏には控え遊撃手として甲子園に出場。その後、NPBのドラフト候補として名前が挙がった実力者でもある。また、野球に関する豊富な知識と分かりやすい解説には定評があり、今年3月からはスポーツ・チャンネル「DAZN(ダゾーン)」で新番組「野球トレンド研究所」をスタートさせた。

現在も草野球チーム「天晴」の中心メンバーとして活躍するトクサンが今、「ありがとう」を伝えたい人物がいる。それが今年、草野球大会「第1回掛布塾CUP」を立ち上げた“ミスタータイガース”こと掛布雅之氏だ。この度、対談機会を得た2人が花を咲かせた話題は、もちろん「草野球」。それぞれが草野球に寄せる熱い想いをぶつけあった。

掛布氏「トクサン、草野球の競技人口ってすごいんでしょ?」

トクサン「すごく多いです。野球のカテゴリーでは一番多いと思います」

掛布氏「そうなんだよね。それでね、僕は草野球に熱中する方たちが、何か忘れ物をしてきているんじゃないかと思うんですよ」

トクサン「忘れ物ですか」

掛布氏「プロ野球に憧れたり、甲子園出場を目指したり。でも、夢破れて野球を終えた人たちが、また草野球を始める。草野球をすることで、何かやり残していることを感じているのかなって思うんです。だから、僕は球団(阪神)に無理を言って、草野球大会の決勝の場として、甲子園という舞台を1日貸していただきました。草野球の方たちに、忘れ物を取りに来てもらいたいの。甲子園であなたの忘れ物が見つかる。そういう舞台を作ってあげたいと思ったんです」

トクサン「そういう舞台を掛布さんに用意していただけるなんて、すっごくうれしいです!」

DAZNオリジナルコンテンツ「野球トレンド研究所」に掛布雅之氏が登場【写真:編集部】

掛布氏「実は僕、何も言わずに予選会場に観に行くことがあるの(笑)」

掛布氏「甲子園って特別でしょ」

トクサン「はい、そうですね。私は甲子園に行けた人間なんですけど、今やっている野球チームは、私を除いてほとんどが甲子園に行けなかった人間たちで、かく言う私もベンチでした。やっぱり甲子園を目指せるのは高校野球だけという歴史がある。その中で、掛布さんが仰有ったように、草野球の決勝の舞台として甲子園があるのは、我々としてはもう一度忘れ物を取りにいける、そんな気がします。実は私は別のトーナメントで、甲子園を使って草野球をできたことがあって」

掛布氏「全然、違うでしょ」

トクサン「やっぱり最高ですよ。本来目指せるわけのない草野球で、皆さんのお力を借りながら、甲子園を目標にできる。これはとんでもないことです」

掛布氏「だからこそ、勝ち進んでいった人たちのご褒美として、甲子園を提供してあげたいわけですよ。今年甲子園に行けなかったら、また来年目指していただきたい。そういう大会に育てていきたいんですよね」

トクサン「本当にありがたいことですね」

掛布氏「4月から予選が始まったんですけど、実は僕、何も言わずに予選会場に観に行くことがあるの(笑)」

トクサン「え?っ、そうなんですか! 皆さん、ビックリしますよね」

掛布氏「もう2試合見た(笑)。1試合は引き分けだったんだけど、その場合は代表者1名がジャンケン1回勝負をするんですよ。そうしたら、ジャンケンで勝った人が膝から崩れ落ちて泣き出しちゃって。甲子園に対する特別な思いを感じて、すごくうれしかったです」

トクサン「それは一番盛り上がりますね。うれしいですよね」

掛布氏「もう1試合はレベルの高いチーム同士の試合で、それはもうプロ野球と一緒。ミスしたチームが負けるという試合でした。まったくプロ野球を観ているのと一緒でしたね」

トクサン「そうでしたか。でも、掛布さんに『プロ野球と一緒』と言っていただくなんて恐れ多いですよね。我々、草野球人にはすごくうれしいお言葉です」

野球YouTubeのトクサン(左)と掛布雅之氏【写真:編集部】

トクサン「草野球が人生を豊かにするものであってほしい」

掛布氏「皆さん、すごく純粋ですね。僕はプロ野球という世界にずっといて、今は解説をさせてもらっていますけど、草野球を見ると違った形の感動を感じるんですよ。野球に対する気持ちがすごく純粋。プロ野球は当然、仕事ですから少しドロドロした部分がありますけど、草野球にはないので」

トクサン「草野球はまさに週末の娯楽なので、正直やらなくてもいいものなんですよ(笑)」

掛布氏「(笑)でも、僕は忘れていたものを草野球に感じますね。僕が野球に対して忘れていた何かを。だから、今やっているトーナメントで草野球の試合を見ると、気持ちが洗われる思いがします」

トクサン「厳しいプロの世界で活躍なさった方に、そう思っていただけるのはうれしいですね」

掛布氏「僕は草野球をしている方に、一生懸命、真剣に野球を楽しんでもらいたい。『一生懸命、真剣に』を忘れてほしくないな。でも、思いっきり楽しめ、と」

トクサン「ありがとうございます。趣味だというところで言うと、私は草野球が人生を豊かにするものであってほしいと思います。野球がしたくてしている人たちなので、怪我に気を付けて、相手に対するリスペクトを持って……」

掛布氏「そう、それが大切!」

トクサン「人生が充実するような草野球ライフを送ってもらいたいですよね」

掛布氏「いいね、トクサン、素晴らしい!」

トクサン「ありがとうございます(笑)」
(佐藤直子 / Naoko Sato)

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