避難所備蓄 間仕切り5倍、テントも2倍 神奈川の自治体、背景にコロナ対策

風水害を想定した避難所訓練。感染予防のため、間隔を取ってテントを設置した=2020年9月、横須賀市

 災害時に避難所でプライバシーの確保や女性への配慮につながる間仕切りを備蓄する神奈川県内の自治体が2020年度で29市町に増え、備蓄総数も約5倍となったことが、神奈川新聞社のアンケートで分かった。

 間仕切りのない川崎、座間、箱根、清川の4市町村も授乳や着替えに使える室内用のテントを準備するなど、避難所の環境改善に向けた動きが加速した。主な財源として、国の新型コロナウイルス対応交付金を活用しており、感染症対策が追い風となった形だ。 

 小中学校の体育館などに雑魚寝することが多い避難所では、プライバシーや性犯罪などの問題が災害のたびに顕在化。政府は東日本大震災後にまとめたガイドラインで、トイレやベッドも含めた避難所の「質の向上」を目指すよう市町村に求めており、県の指針でも間仕切りなどの活用を促している。

 アンケートは今年1~2月、県内の全33市町村に実施。間仕切りやテントの備蓄状況などを尋ね、集計したところ、間仕切りは29市町、テントは32市町村が20年度までに確保し、6市町で備蓄のない状態が解消した。

 また、19年度時点の備蓄総数と比較したところ、間仕切りが5倍ほど、テントは2倍以上に増えたことが分かった。備蓄とは別に、間仕切りの供給についてNPO法人などと協定を結ぶ自治体も増えている。

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