【東京五輪】「ショーは完全に台無しになる」感染危機的状況のインドから悲痛な叫び

ニューデリーではコロナで亡くなった人々が大量火葬されている(ロイター)

新型コロナウイルスの変異株で危機的状況に陥っているインドのスポーツ界が東京五輪へ向けて悲痛な叫びを上げている。

インドでは感染力の強い変異株が猛威を振るっており、1日の新規感染者数が40万人を超えて世界最多となる非常事態。医療用酸素も不足し、患者の受け入れ拒否が相次ぎ、犠牲者の火葬が至る所で行われるなど、まさに〝地獄絵図〟の様相を呈している。

そうした国家を揺るがす事態に、インド陸上競技連盟のアディル・スマリワラ会長が切実な訴えを行った。インドメディア「ニュース18」などによると「インドでのコロナウイルスの感染拡大は、東京五輪に向けたトップアスリートの準備計画を台無しにした」と同国の現状を悲壮な言葉で訴えた。

スマリワラ会長は、インドの感染深刻化により同国選手の海外大会への出場が次々と拒否され、トレーニングすることさえままならず、五輪に向けたロードマップは完全に崩壊していると告発。

「夏の暑さが増しているこれからの困難な時期に加え、検疫措置もあり適切なトレーニング場所を見つけるのは困難だ。五輪が間近に迫っているが、ショーは完全に台無しになる」とインドはとても五輪に万全で臨める状況ではないと涙ながらに訴えたのだ。

世界2位の人口13億8000万人(2020年度)を誇る超大国から上がった悲痛な叫び。感染の深刻化で十分な準備ができない国が多くありながら、五輪開催国の日本を筆頭に、IOCと一部の国は〝自分たちさえよければ、他国はどうなってもいい〟とばかりに開催強行に突き進んでいるが…。

多くの国民の生命を危険に追いやり、競技自体も不公平な中で行われるメダルに価値があるのか。今後アスリートからどのような声が上がるのか注目が集まる。

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