実業団陸上・三菱重工 期待の大卒コンビ加入 吉岡遼人、栗原卓也

これからの活躍が期待される三菱重工の(右から)吉岡、栗原=長崎市総合運動公園かきどまり補助競技場

 新緑の季節を迎え、陸上のトラックシーズンが本格的に始まった。
 今季、三菱重工に加入したのは、吉岡遼人(滋賀・草津東高、立命大出身)と栗原卓也(川棚高、東京国際大出身)の大卒コンビ。チームの練習に合流以降、早くも試合で好走するなど、徐々に頭角を現してきている。黒木純監督は「2人ともコツコツ積み上げて力をつけていく、うちのチームに合うタイプ」と地道なステップアップを望んでいる。

 

■吉岡(草津東高―立命大)/諦めずに夢かなえる

 吉岡が将来の主戦場として見据えているのはマラソン。三菱重工は2時間6分47秒の記録を持つエース井上大仁をはじめ、マラソンに強いランナーが多く在籍する。この刺激をもらえる環境で「まずは42.195キロを走り切る土台づくりをしっかりやっていきたい」と強い意志をのぞかせる。
 高校時代は1年時に5000メートルで14分46秒を出した。その後は、ほぼ故障に苦しんだが、勧誘に来てくれた立命大の監督に「このまま終わったら悔しいやろ」と声を掛けられて奮起。大学で生活を一から見直してストイックに陸上に取り組むと、自己ベストが5000メートル13分53秒52、1万メートル28分58秒08にまで伸びた。3年時の全日本大学選抜駅伝はアンカー(10.2キロ)を務め、チーム過去最高タイの6位に貢献した。
 成長できた大学4年間の経験を力に、実業団ランナーとして「世界で戦えるマラソン選手」を目指していく。好きな言葉は「諦めなければ夢はかなう」。そう信じて、長崎の地で強くなる。

 

■栗原(川棚高―東京国際大)/地元で走る喜び胸に

 実業団入りして走った2度のレースで、いずれも5000メートルの自己ベストを更新。4年ぶりに帰ってきた古里長崎で、栗原は順調なスタートを切っている。
 川棚高、東京国際大と駅伝の有力校で脚力を磨いてきた。4年間、目標にしていた正月の箱根駅伝は走れないまま終わったが、今年は1月上旬から三菱重工の合宿に合流。高校の先輩に当たる定方俊樹をはじめ、第一線で活躍する先輩たちにもまれながら、充実した日々を送っている。
 郡中1年の元日。家族とおせち料理を囲みながら見ていたのが、全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)だった。「社会人になっても走り続けられたら格好いいな」。あれから9年余り。漠然とした憧れは現実となった。あの時よりも格段に強くなった三菱重工のメンバーとして走れる喜びは大きい。
 自己ベストは5000メートルが14分1秒79、1万メートルは29分13秒65。まだ、先輩たちとの差があるが「記録を伸ばし続けて、いずれはマラソンで戦いたい」。

 


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