【MLB】4月だけで8本塁打量産、好調の要因は? 大谷翔平が見せる昨季からの“変化”と“進化”

エンゼルス・大谷翔平【写真:AP】

昨季から大きな変化を見せている初球のスイング率

今季ここまで目覚ましい活躍を見せているエンゼルスの大谷翔平投手。打者としては、ここまでリーグ2位の8本塁打を放ち、投手としても3試合に先発している。“リアル二刀流”でも2試合に出場するなど、連日、日米の野球ファンを楽しませてくれている。

特に光っているのが打者としての働きだ。ここまで25試合に出場して99打数26安打8本塁打20打点、打率.263を残している。不振に苦しんだ昨季は44試合で7本塁打に終わり、今季は4月の1か月間だけで、昨季の本塁打数を上回るアーチをかけた。

わずか7本塁打に終わった昨季と一変した姿を見せている大谷だが、昨季とは一体どこに変化があるのか。セイバーメトリクスの指標、データを基に探ってみた。なお、データ、指標は5月1日(日本時間2日)現在のもの。

様々な指標で昨季を超える数字を残している大谷だが、その中でも特に大きな変化を見せているデータがある。その1つが初球からスイングしていく割合を示す「First Pitch Swing%」だ。メジャー1年目の2018年は「32.2%」、2年目の2019年は「37.4%」だったが、昨季は「28.6%」と30%を切っていた。それが今季は大幅に改善。1日(日本時間2日)現在で45.1%と大幅に上昇している。

8本塁打中6本が初球ないし2球目までに打ったもの

今季はその初球を打った打席が13打席あり、12打数5安打2本塁打4打点1死球、打率.417の好成績が出ている。昨季は初球を打った打席はわずか9打席しかなく、1安打1本塁打3打点の打率.111だった。

また、今季の特徴としては早いカウントで打ちに行き、そして結果を残している。1ボールからの2球目を打ちにいった打席は9打数4安打3本塁打3打点で打率.444、1ストライクからの2球目は7打数4安打1本塁打3打点で打率.571、1ボール1ストライクからの3球目は8打数4安打0本塁打3打点で打率.500となっている。

8本塁打のうち6本塁打が初球ないし2球目を打ったものとなり、積極的に早いカウントから打ちにいく姿勢が本塁打量産に繋がっていることが良く分かる。野球界では初球や早いカウントでの打率は高く、追い込まれるなど打者が不利なカウントになるにつれ、打率は下がっていくとされる。大谷のこの成績も、早いカウントからの“好球必打”が要因にあると言えるだろう。

「Barrel%」23.2%は名だたる強打者を上回りメジャートップ

また、打球内容にも“進化”の跡が見て取れる。その1つが“バレル”と呼ばれる指標だ。バレルゾーンとは長打が出る確率の高い打球速度と打球角度が合わさったゾーンのこと。大谷はここまで16本の打球をこのバレルゾーンに飛ばしており、これはレッドソックスの大砲ラファエル・デバースと並び、メジャーでトップタイだ。

さらには打球数に占めるバレルゾーンの打球割合を表す「Barrel%」は23.2%となっており、これはメジャー全体で単独トップの数字。メッツのピート・アロンソやフィリーズのブライス・ハーパー、チームメートのマイク・トラウトら名だたるホームランバッターをも上回っている。また、今季の打球速度の最速は119マイル(約191.5キロ)で、これはヤンキースのジャンカルロ・スタントンの120.1マイル(約193.2キロ)に次ぐメジャー2位となっている。

早いカウントからの積極的なバッティング、そして、長打になりやすいとされるバレルゾーンへと打ち出すことのできる技術とパワー。メジャー4年目を迎えた大谷翔平の打撃は、大きな“変化”と“進化”が詰まっている。(Full-Count編集部)

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