高島礼子・黒谷友香主演 被爆地・長崎を舞台に2人の女性描く 「祈り ―幻に長崎を想う刻―」8月公開

戦争・被爆のつめあとが色濃く残る昭和32年の長崎を舞台に、焼け落ちた浦上天主堂に残るマリア像を人知れず運び出そうとする2人の女性を描いた映画「祈り ―幻に長崎を想う刻(とき)―」が、8月13日より長崎で先行公開され、8月20日より全国公開されることが決まった。

「祈り ―幻に長崎を想う刻(とき)―」は、明治時代の長崎市に生まれ、文学座創設への参加や岸田国士戯曲賞の審査員を務めるなど、1990年に亡くなるまで劇作家・演出家として活躍した田中千禾夫(ちかお)が1959年に発表した戯曲「マリアの首-幻に長崎を想う曲-」を原作とした作品。”戦争と原爆の悲惨さを後世に伝えたい”と書かれた戯曲は、第6回岸田演劇賞や第10回芸術選奨文部大臣賞を受賞した。

被爆によってケロイドを持つカトリック信徒・鹿役には、「長崎ぶらぶら節」で日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞し、「おみおくり」に主演するなど活躍を続ける高島礼子。詩集を売りながら、原爆の跡地で自分を犯した憎き男を探している忍役は、「TANKA 短歌」で映画初主演を果たし、映画・舞台・ドラマなどで活躍する黒谷友香が務める。さらに、田辺誠一、金児憲史、村田雄浩、寺田農、柄本明、温水洋一らが脇を固めている。さらに、美輪明宏が「マリア像」の声を担当し、作品に神秘的な世界をもたらしている。

監督には、ニュース映画「今なお苦悩は続く~土呂久公害70年~」で毎日映画コンクール短編映画部門グランプリを受賞し、映画監督として「天心」「サクラ花 桜花最期の特攻」「ある町の高い煙突」などを手掛けた松村克弥。主題歌には長崎出身のさだまさしの「祈り」を採用。市民コーラスの方々の協力を得て、浦上天主堂で収録した楽曲が使用される。

【コメント】

■高島礼子 鹿(しか)役
撮影前に長崎で被爆者の方から直接お話を伺ったことで、とても気持ちの入った演技が出来ました。教科書では習わなかったことや被害の大きさ、被爆者差別などを知って愕然としました……コロナ禍にある現在との共通点も強く感じます。本作では、皆さんが1つの目的を持って力を合わせれば、きっと成果につながるという熱いメッセージが込められています。是非、映画をご覧いただき、何かを感じ取っていただければと思います。

■黒谷友香 忍(しのぶ)役
76年前に上空約500メートルの高さで炸裂した一発の原子爆弾により、長崎の街は一瞬で破壊され多くの方々の命が奪われました。長崎ロケに向かう飛行機が徐々に高度を下げ、眼下に広がる街並の中に人々の暮らしを見た時、戦争は過去にあった出来事などではなく、人類が確かに行ってしまったしわざであって、何かの歯車が少し狂っただけで、この当たり前な平和は保っていられなくなるのだと強く感じました。世代を超えて、特に若い方々に是非観ていただけたらと思っています。

■松村克弥監督
長崎の被爆を舞台にした作品は多いが、田中千禾夫の原作は戦後10余年の設定にしたところが秀逸。経済成長をめざす流れの中、被爆の記憶を必死に残そうとする名もなき市民、しかも女性たちが主役である。戦争は悲劇であるはよく言われるが、田中の原作は、戦後もそれが続く現実を庶民の目から徹底的に真摯に描く。戦後75年を超え、いまだ悲しいニュースや不穏な時世に揺れる日本と全世界に、田中が遺した劇中のセリフを捧げたい。私たちに今も響く真の言葉である。「一緒にいのちのゆくえば祈りましょう」

【作品情報】
祈り ―幻に長崎を想う刻―
2021年8月20日(金)より、シネ・リーブル池袋他全国ロードショー
2021年8月13日(金)より、ユナイテッド・シネマ長崎にて先行公開
配給:ラビットハウス/Kムーブ
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