宮部みゆきの“江戸怪談”「三島屋変調百物語」をアニメで観たい3つの理由【編集部員が選ぶアニメ化してほしい作品】

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おそろし 三島屋変調百物語事始 /文庫判 宮部 みゆき(著/文) - KADOKAWA

日本では毎クール大量のアニメ作品が放送されています。原作は、マンガ、ライトノベル、ゲームなど様々です。読者のみなさんの中にも、アニメ化してほしい作品を考えると1作品は思い浮かぶという方も多いのではないでしょうか?

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本稿では、春の大型連休“ゴールデンウィーク”にあわせて、アニメ!アニメ!編集部員的“アニメ化してほしい作品”を紹介しています。

『おそろし 三島屋変調百物語事始』

概要・ストーリー

17歳のおちかは、実家で起きたある事件をきっかけに、ぴたりと他人に心を閉ざしてしまった。

ふさぎ込む日々を、江戸で三島屋という店を構える叔父夫婦のもとに身を寄せ、慣れないながら黙々と働くことでやり過ごしている。

裏庭の片隅にひっそりと曼珠沙華のひと群れが咲く秋のある日、叔父・伊兵衛は、おちかに来客の対応をまかせて出かけてしまう。来客の相手をすることになったおちかは、曼珠沙華の花を怖れる客の話に次第に引き込まれていく。

そして、伊兵衛の計らいで次々に訪れる人々のふしぎ話は、おちかの心を溶かし、やがて彼女をめぐって起こった事件も明らかに……。

哀切にして不可思議。宮部みゆきの「百物語」が始まる。

選んだ理由orおすすめポイント

本作は、江戸の袋物屋・三島屋を舞台に、「語って語り捨て、聞いて聞き捨て」をルールに黒白の間と名付けられた座敷を訪れた客が、胸にしまってきた怖い話や不思議な話を語っていく連作短編集です。

2006年から宮部みゆきさんが書き継いでいる時代小説シリーズであり、2014年にはNHK-BSプレミアムにて波瑠さん主演『おそろし 三島屋変調百物語』として連続ドラマ化もされました。

そんな本作を改めてアニメ映像で観たいポイントは3点!

まず、宮部みゆきさんが描く“江戸の怪異”をぜひアニメ映像で観たいからです。摩訶不思議な出来事、そして江戸という現代には存在しない世界観を、ファンタジーにもリアルにも描けるアニメーションという手法で体感したいのです。

例えば、本作の最初のお話には「曼珠沙華」が登場します。

彼岸花、死人花、幽霊花など不吉な名称で呼ばれ、花が血のように紅く一見おどろおどろしい曼珠沙華の花。でも語り部の話が進むにつれて、曼珠沙華はその表情を変えていきます。より恐ろしくも、より優しくもなる――。そして、曼珠沙華が咲く“江戸”という世界は、陽の光の差し込み方から、鳥・虫の鳴き声に生活音、語りの舞台となる座敷の形式まで、きっと様々な要素が現代社会とは異なるでしょう。

そんな移ろいゆく花の表情を、もはや異世界にも等しい江戸という世界の中でどう描くのか? 現代アニメーションの技術で表現してみてほしい! 期待に胸踊ります。

そして、短編集なので毎話違ったエピソードを楽しめるのも、見どころになるのではないでしょうか? 本当に背筋が凍るほど“ヒヤッ!”とする怖いお話から、思わず笑顔になる“ほっこり”話まで、多彩な物語を堪能できる――まるで、ひと粒ひと粒が宝石のように輝いて、どんな味かワクワクしながら、ちょっとずつ食べるチョコレートアソートのように――そんな楽しみが毎週あったら、素敵だな! と思うのです。

それでいて、主人公・おちかの感情の変化や成長、彼女自身が抱える問題の行方などに寄り添えば、全ストーリーを通して“おちかの物語”としても楽しめるので、見ごたえ抜群だと思います。

さらに、アニメーションになることで声優陣の演技が加わるのが、最も楽しみです。

本作は、おちかの元を訪れる人々が、胸の内に秘めた想いを語って、語って、語り尽くします。その大事な“語り”を、如何に演者が演じきるのか……。

語り部が話す過去の出来事は、回想物語として様々な人物を登場させ、何が起こったのか分かりやすく表現してほしいところです。

が、語り部が黒白の間と名付けられた座敷を訪れて、自身の想いを吐露し始めるまさにその瞬間……そして、語りきった後のさらなる深い深い心中の独白シーン……こうした語り部が一人で“語る”大事なシーンを、声の演技のプロたちがどう演じ、表現し、聞かせてくれるのか。さらに、登場する語り部たちは老若男女いるので、それに合わせた多様な声優陣の演技が拝めるのも一興ではないでしょうか。

毎話、ゲスト出演する声優さんがどなたなのか、SNSでも話題を集めそうですね。

願わくは、原作本を読んでみていただきたい。そこで感じる様々な感情や、個々に思い描く情景や風景、語り部たちの声色。そういった個人個人の読書体験はとても素晴らしいものです。それを敢えてアニメーションとして表現することで、より広く、年齢も言語も世界も超えた多くの人々と一緒に、本作の魅力をお話できたらと思うのです。

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MINAMI