間取り図より狭い?マンションを買うときに確認したい建物の面積

建物について、実際に使用できる部分は、間取り図に書かれている面積よりも小さいことを知っていますか。多くの人は知る必要がありませんが、マンションを買おうと思う人は、知っておいたほうが良いように思います。では、なぜこのような面積の違いが生じるのでしょうか。


建物の面積は間取り図よりも狭いのはなぜ?

住宅を買うことや、借りることを考える多くの人は、まず資料を入手して、立地・間取り・面積などを確認して候補を絞り、その後、いくつかの物件を実際に見学するのではないでしょうか。しかし、(1)間取り図などの資料と、(2)実際に使用できる部分の面積は違うという事は、あまり一般的に知られていないように思います。

例として、図のような2LDKのマンションがあったとします(図表1)。このマンションの面積を測ってみると、間取り図などの資料に記載される面積は(1)61.62㎡です。一方、実際に使用できる部分は(2)57.72㎡で、少し小さくなります。売主や仲介業者が間違っているわけではなく、(1)と(2)はどちらも正しい面積ですが、面積の測り方に違いがあります。

まず(1)の面積については、壁芯面積といいます。間取り図などに記載されており、建物の設計図で計算されている面積です。建物の面積は、壁芯面積で表されることのほうが多いように思います。

壁芯面積は、壁や柱の真ん中(壁芯)で線を引いて、面積を測ります(図表2)。壁芯面積には、実際に使用できる部分に加えて、壁芯から壁の表面までの壁の面積の半分が含まれるので、壁芯面積は実際に使用できる面積よりも大きくなります。なお、壁芯から壁の表面までの距離は、建物の構造や壁の位置によって異なります。実は、壁が厚く遮音性が高い立派な構造のマンションほど、この差が大きくなります。

実際に使える面積は?

一方、(2)については内法面積といい、マンションの場合には、登記簿に記載される面積になります。実際に使用できる壁の内側を測るので、当然のことながら壁芯面積よりも小さくなります(図表3)。「部屋の面積はどのくらいか」と考えたときに、多くの方は、この内法面積のイメージするのではないでしょうか。

なお、戸建てなどの一棟の建物の場合は、登記簿も(1)の壁芯面積と同様の面積を用いるので、間取り図と登記簿面積のいずれもが、実際に使用できる部分よりも大きく表記されています。

また、(1)、(2)のどちらの測り方でも、室内ではないバルコニーなどは建物の面積には入りません(図表2,3)。

つまり、実際に物件を見に行った時に、「間取り図より狭い気がする」と感じたのであれば、その感覚は正解です。しかし実際のところ、キッチンや棚などの部屋の設備や収納の大きさや配置によっても、感じる部屋の大きさが異なり、見ただけでは、壁芯面積と内法面積の違いは分かりにくいものです。また、見学の際に、部屋の面積や壁と壁の間の距離を測る人はあまりおらず、違いに気づく人は少ないのではないかと思います。

がっかりしないために

なお、建物を借りる人は、さほど気にしなくても良いと思います。実際に使用できる部分が間取り図より小さいと分かれば、ちょっと損した気分にはなりますが、壁芯面積と内法面積の違いによって、金銭の損益に関わるようなことはほとんど生じないからです。また、どうしても狭く感じられて気に入らないのであれば、住み替えという選択をすることも可能です。

しかし、マンションを買う人は、壁芯面積と内法面積の違いについて、あらかじめ知っておいたほうが良いと思います。多くの場合、取引の最初に目にする面積は物件の募集広告に記載される広めの壁芯面積である一方で、取引の最後に目にする面積は登記簿に記載される狭めの内法面積です。これらの違いについて知らなければ、最終段階で、はじめて、思ったより建物の面積が小さかったと気づき、少しがっかりすることになるかもしれません。

尚、住宅取得控除を利用する場合は、適用条件は登記簿の面積、つまり内法面積が判定基準になるので、間取り図の面積が適用条件の面積(40㎡または50㎡)ぎりぎりのマンションを買う際には、注意が必要です。もし内法面積が適用条件を下回れば、住宅取得控除を受けられなくなります。マンションを買いたい場合で、気になる物件があれば、購入の申し込みをする前に、内法面積を確認しておくと良いと思います。

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