ISSに1年間ドッキングしていた補給船「プログレスMS-14」大気圏に再突入してミッションを終える

【▲ 国際宇宙ステーションを離れる無人補給船「プログレスMS-14」(Credit: NASA)】

日本時間2021年4月28日8時11分、国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングしていたロシアの無人補給船「プログレスMS-14」が分離し、ISSを離脱。同補給船は翌29日9時1分から4分間エンジンを噴射して減速し、9時42分に南太平洋へ落下してミッションを終えました。

水、食料品、医薬品、実験装置などを搭載してISSに到着し、廃棄物などの不要品を積み込んだ後にISSを離脱するプログレス補給船は、おおむね半年前後の期間ISSに係留されます。今回ミッションを終えたプログレスMS-14は日本時間2020年4月25日に打ち上げられて同日中にISSとドッキングしたため、1年間ISSに係留されていたことになります。

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ISSは高度約400kmを周回していますが、わずかな大気の抵抗により少しずつ減速して高度が下がってしまうため、ISSでは補給船のエンジンを使って軌道を修正するリブースト(軌道上昇)が定期的に実施されています。また、スペースデブリ(宇宙ゴミ)との衝突を避けるための軌道変更(デブリ回避マヌーバ)が行われることもあります。

ロシアの国営宇宙企業ロスコスモスによると、ISSの最後部に係留されていたプログレスMS-14は1年のあいだに10回エンジンを噴射し、ISSの軌道修正を行いました。このうち2回はスペースデブリを回避するための予定外の軌道変更だったとされています。

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単独飛行も含めて369日間というプログレスMS-14の飛行期間は、1993年に当時の「ミール」宇宙ステーションに物資を運んだ補給船「プログレスM-17」によって樹立された337日間を上回り、ロシアの補給船による飛行期間の最長記録を更新することになりました。

なお、プログレスMS-14がISSを離れた4月28日には宇宙航空研究開発機構(JAXA)の野口聡一宇宙飛行士ら4名が搭乗した有人宇宙船「クルードラゴン」運用初号機もISSを離れる予定でしたが、着水予定海域の天候の都合により延期。その後、野口飛行士らを乗せたクルードラゴンは日本時間2021年5月2日9時35分にISSを離れ、同日15時56分にフロリダ沖合の予定海域へ着水し、地球に帰還しています。

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Image Credit: NASA
Source: Roscosmos
文/松村武宏

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