【高校野球】早大・小宮山監督の直接指導でフォーム改善 進学校・水戸一エースの目指す未来

水戸一のエース・石井陽向【写真:川村虎大】

水戸一は準決勝で常磐大高に9回サヨナラ逆転負け

茨城県春季大会準決勝が5日、J:COMスタジアム土浦で行われ、進学校として知られるの水戸一は4-5で常磐大高に9回逆転サヨナラ負け。2点リードの9回に3点を奪われ、58年ぶりの県春季大会決勝進出と関東大会出場を逃した。

エース・石井陽向投手(3年)に笑顔はなかった。常磐大高打線を6回まで4安打に抑えていたが、7四死球を与えるなど球数が増え、7回2死一、二塁のピンチを招いた場面で降板。「最終回まで行くつもりだったのですが、四死球が多くリズムを作れなかった」と反省を口にした。

それでも、今大会4試合全てに先発して2完封。45年ぶりの春4強進出は石井抜きでは考えられなかった。木村優介監督も「本当によく投げてくれた。勝ち続けるために必要なことを彼が感じ取ってくれれば」と、さらなる成長を期待した。

水戸一は茨城県有数の進学校。同校のホームページによると令和3年度の東大合格者は23人だった(浪人も含む)。試験も多く、練習時間も限られる。「練習までにその日のメニューを組み、練習以外の時間で野球を考えてます。授業間や授業中の先生の無駄話中とかです」と石井は笑う。自身も平日は帰宅後毎日3時間を学習に費やし、空いている時間で勝つための術を考えた。

夢は東京六大学でプレーすること。冬に早大・小宮山悟監督が水戸一を訪問、石井も直接指導を受けた。「もともとインステップ気味だったのを『投げる方向に足を出すように』と。思ったコースに投げることができるようになりました」と、成長を実感。東京六大学の監督による指導を直接受け、神宮のマウンドを意識するようになった。

「全部自分が完投するつもりで、甲子園を目指したい」。春はまだ通過点。水戸一を支えた背番号1は夏、その先の未来を見据えている。(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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